さて、熟年になるとまず衰えるのが歯。口臭がある人の大部分は、歯周病と虫歯によると言える。腐った卵の匂いや硫黄(いおう)温泉の匂い、あるいは魚の内臓のような匂いがする口臭は、歯周病が原因であることが多い。歯周病菌が増殖過程で、硫化水素やメチルメルカプタンといった鼻にツンとくる成分を作ってしまうのである。また、虫歯がある場合は、残飯入れのような嫌な口臭がすることも。これは虫歯が進行して、歯の根元の組織が壊死してしまうため。虫歯の治療をすると口臭も消える。

 一方、年齢を重ねると気になってくるのが加齢臭。ロウソクや古本にたとえられるこの匂いは、皮膚の新陳代謝が悪くなることで起こる。「運動をして若々しい血管を保つ食生活をしていれば新陳代謝が良くなり、加齢臭も少なくなります」(野村院長)

 その他、日本ではあまり馴染みがない病気にも触れておこう。スウェーデンのカロリンスカ研究所によると、腸チフスにかかると焼いたパンのような体臭や口臭がする。また、黄熱病は精肉店の生肉の匂い、結核菌の感染によって頸部のリンパ節が腫れる瘰癧(るいれき)になると、何日か置いた古いビールの匂いがするという。「基本的に、健康であれば人間の体は匂いがしません。いつもと違う匂いがしたり、嫌な匂いがするときは、体になんらかの問題があると思って、早めに対応することが大切です」(野村院長) 本誌を読んで男の匂いをプンプンさせる――。ま、これは健康な証拠ですから、ご安心を。

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