散り際がもっとも美しいとされるサクラの花びらもほぼ風に舞い散り、今週末は、いよいよ、牡馬三冠クラシックの第1弾「皐月賞」が行われます。レースを一週間後に控えたこの時期、ジョッキーはどんな気持ちで毎日を過ごしているのか!?

 若い頃は、「大舞台でいっちょ、いいところを見せてやろう」と、かなり前のめりになっていましたが、最近はいつも通り。淡々とやるべきことをやり、後はレースに集中しています。パートナーの調子はどうなのか。レース当日の天気予報は雨なのか、晴れなのか。なんとなくレースのイメージを頭の中に描くくらいで、枠順が決まるまではそれほどピリピリした感じはありません。

 できれば、圧倒的に支持された1番人気でゲートに入りたい――人それぞれでしょうが、大きなレースになればなるほど、僕はこの気持ちが強くなります。相手がどうこうではなく、自分の競馬をすれば結果は付いてくる。そんな状況が理想です。2015年、ディープインパクトとともに挑んだ「皐月賞」が、まさにそんなレースでした。でも、そんな最強のパートナーに恵まれるのは、十数年に一度あるかないか。93年のナリタタイシンで初めてこのレースを勝ったときは、岡部幸雄さんが乗るビワハヤヒデと柴田政人さんが騎乗するウイニングチケットが2強を形成。3強と呼ばれるようになったのはこの後のことで、僕とナリタタイシンは、大きく離れた3番手評価でした。

 どうやったら、2強を倒すことができるのか!? 考えに考え抜き、これしかないという戦法を編み出し、それが見事にはまっての優勝は、圧倒的な一番人気で勝つのとはまた別の味わいがありました。

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