金本阪神「超改革の成果と弱点」優勝大本命の真価の画像
金本阪神「超改革の成果と弱点」優勝大本命の真価の画像

 大規模なチーム改革を行い生まれ変わったタイガース。優勝候補の筆頭と目される軍団に仕掛けられた“罠”!!

 いよいよ開幕したプロ野球。セ・リーグで序盤戦の主役となっているのは、好スタートを切った2チーム、巨人と阪神だ。実は開幕前、多くの野球評論家の順位予想で、ダントツの優勝候補となったのが金本知憲新監督率いる阪神。スポーツ紙やテレビで解説を担当する評論家84人の半数近い39人が、阪神を優勝候補に挙げているのだ。

 巨人の優勝を予想したのは17人、昨季優勝のヤクルトでさえ15人ということを考えると、これは驚異的な数字だろう。野球解説者の江本孟紀氏は、この猛虎フィーバーを「“消去法”で、そうなるから」と分析する。昨年、優勝したヤクルトは今季は投手陣がいま一つだし、昨季低迷したDeNAや中日は目立った補強がなかった。となると、本命は巨人か阪神ということになるが、巨人も補強が手薄だったため、期待できそうにない――というのが球界の定説。結果として、阪神が浮上しているわけだ。

 ただ、金本阪神が誕生したとき、球界では「金本は苦労するぞ」と言われていた。投打とも外国人頼みの体質。生え抜きが育たず、主力選手のロートル化も進んでいたからだ。「“阪神は10年優勝できない”と断言した解説者もいたくらいです。実際、金本さんも、(監督を)引き受けるかどうか迷っていたフシが見られます。そこで、金本さんは監督就任に際し、球団にある条件を突きつけたといいます」(前同)

 その条件というのが、南信男球団社長の退任と、球団社長の“茶坊主”と化していた一部コーチ陣の刷新だったという。「コーチが、監督よりも球団社長のほうを向いているチームが強くなるはずはありませんからね。球団はこの条件を快諾し、球団社長を交代しました」(同) さらに阪神球団は、金本監督が信頼する矢野燿大氏を実質ナンバー2である作戦兼バッテリーコーチに就任させることを提示。晴れて金本阪神が誕生した。「金本監督と矢野コーチは、どちらも東北福祉大野球部出身。浪人した金本が1年後輩ですが、年齢は同じです。試合中は隣り合って座ることが多く、総大将と軍師の関係ですね」(虎番記者)

 掛布雅之2軍監督の存在も大きいという。「秋季キャンプの段階から、投打の改革に着手した金本監督は、ことあるごとに、“(バットを)強く振れ”と指示してきました。彼が理想としているのは、真弓、バース、掛布、岡田が打って打って打って打ち勝った85年優勝時の阪神野球。前任者の和田監督が“可もなく不可もない”選手を使い続けたのとは対照的に、当たればデカい、相手投手にとって脅威となる打線を組みたいんですよ。この金本野球に掛布2軍監督が賛同。息がピッタリなんです」(前同)

 選手時代、ドラフト3位で広島に入団した金本監督は、プロ初の松山での春季キャンプで、三村敏之監督に「お前は(瀬戸内海を)泳いで帰れ!」と罵倒された体験を持つという。「そこから一念発起して、練習の虫に磨きをかけ、ウェイトトレーニングで筋力アップを達成したんです。強く振れるために、選手に筋トレを励行しているのは、そのためです」(同)

 こうした金本構想にピタリはまるのが、髙山俊、横田慎太郎、江越大賀という若手選手だという。「髙山は、阪神の過去10年最高のスイングスピードの持ち主といわれます。ドライチだからといって特別扱いされず、2軍落ちも経験していますからね。この髙山に3年目の横田、2年目の江越を加えて“金本野球の三羽烏”にしたいようですね」(前出のデスク)

 髙山-横田がつなぐフレッシュな1、2番の後を打つのが、マートンの穴を埋めることを期待された新助っ人のヘイグ、4番はベテランの福留孝介、5番にゴメスとクリーンアップが並び、6番にはキャプテンの鳥谷敬、7番にはメジャー帰りの実力者、西岡剛が控える。

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