最近は中高年男性もダイエットが流行り、中には「若い頃の体重」を目標にしている人がいる。だが、前出の柴田博士によると、「中高年世代は若い頃より少し太り気味のほうが健康で長生きできる」と言う。「アメリカでは、若い頃より体重が10キロぐらい多いほうが長生きで健康という研究報告がされています。日本人はアメリカ人より小柄ですから、若い頃より5~6キロぐらい太ったほうがいいでしょう」(前同) 太くても長生きできるのは感染症に罹ったとき、脂肪細胞に栄養を蓄えた人のほうが強いからだという。

 また、脂肪細胞は人体に必要な生理活性物質(アディポサイトカイン)を分泌している。痩せて、脂肪細胞が働かないと、こうした生理活性物質も分泌できない。こうした“若作りダイエット”もそうだが、常に健康を一番に考えた生活より、まあまあでいいやというグータラ生活のほうが、逆に健康的なケースが多い。多少の風邪では、会社を休まない。少しぐらい疲れていても頑張るという人がいるが、医学ジャーナリストの牧潤二氏によると、こんな無理が大病を呼び込むもとになるという。

「風邪なども薬に頼るのではなく、休んで治すのが一番なのです」 人間関係も同じで、ストレスが免疫力を低下させ、がんをはじめとするさまざまな病気を呼び込む。「長寿のお年寄りに話を聞くと、“あくせくせず、のんびりしていることが長生きの秘訣”と答える方が多いのです。若い頃はともかく、中高年になったら、あまりしゃかりきにならずグータラでいることが長寿で健康の秘訣でしょう」(前同) 世の「正しい健康法」に惑わされず、好きなものを適宜、適度に楽しむ――こんな生き方が、最も健康的なのかもしれない。

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