アイスランドではグンラウグソン首相が、この問題を受けて辞任。そのことが文書の信憑性を物語る。「こうしたタックスヘイブンは、麻薬組織や武器密輸組織の資金洗浄の場にもなっていますからね。さすがに一国の元首が、それと同じ仕組みを利用していてはまずいでしょう」(ジャーナリストの幡ヶ谷純氏)

 そして、そんな中でも、超ド級の大物の名前が判明している。まず、ロシアのプーチン大統領だ。「本人ではなく、その盟友といわれる大富豪がタックスヘイブンの複数の会社を使用して、プーチン氏の周辺で、少なくとも20億ドル(約2000億円)を行き来させており、一説には、プーチン氏の懐に入ったという説もあります」(前同)

 また、中国では、習近平国家主席の義兄をはじめ、共産党指導層の血縁者など、文書中で最多の個人名が記載されていることが発覚している。「中国は文書の流出が明らかになるや、報道やSNSでの言及を規制し、検索サイト『百度(バイドゥ)』では、“パナマ文書”という単語が検索できないようにしました。これでは、逆に怪しいと思わないほうが変です」(北京在住のライター)

 なぜ、中国は過敏とも言える反応を見せたのか。「習主席は『八項規定』を制定し、汚職幹部を次々に摘発するなどして、政治家の不正な資産の移転を厳しく取り締まってきました。にもかかわらず、自分たちの親族が怪しげな資産移転行為を行っていたとなると、政権の求心力に関わりますからね」(前同)

 中国の内情に詳しい評論家の宮崎正弘氏も語る。「中国では、ただでさえ不景気によって数千万人の労働者の賃金未払い問題が起き、各地で抗議の暴動が多発しています。だから、この文書を大多数の国民の目に触れさせまいと必死です。今のところ、ある程度は隠せているようですが……」

 事の重大さゆえ、フランスや英国、米国やスペイン、オランダ、オーストラリアなど、各国政府が積極的にパナマ文書の調査を表明。だが、日本はというと、菅義偉官房長官が6日の記者会見で、「日本企業への影響を含め、軽はずみなコメントは控えたい」と表明。黙殺する構えだ。「それはそれで、いろいろと勘繰ってしまいますがね……。ひとまず、5月の全文公開を待ちたいです」(経済誌記者) まだまだ余波がありそうなパナマ文書問題。最終的な調査結果を、世界が固唾を飲んで見守っている。

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