とはいえ、巨人としても日本球界の至宝を、このまま“海外流出”させておくわけにはいかない。松井監督実現のため、ある“切り札”を用意しているのだ。「それが、松井氏の恩師であり、巨人軍の象徴でもある、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督です。ミスターは内々に球団、特にナベツネさんから“松井になんとか決意させてほしい”との依頼を受け、そのために動いてきたんですよ。ミスターの働きかけで、松井氏と巨人の距離は再び近づいてきたわけです」(前出のスポーツ紙デスク)

 星稜高校の“ゴジラ”を長嶋氏がドラフト会議で引き当て、プロ入り後にマンツーマンで打撃指導をして以来、2人の師弟関係はずっと変わらずに続いてきた。「渡米したのちも激励に訪れたりと、何かと気にかけてくれたミスターに松井も恩義を感じており、日本に帰るたびに必ず真っ先に会いに行き、さまざまな話をしてきたからね」(前出の読売新聞幹部)

 そうした会食の場で長嶋氏は、事あるごとに松井氏に「早く監督になれ」と勧め続けているという。「ミスターは“松井を巨人軍の監督にするのが私の最後の仕事です”とまで言っているらしい。それでも松井の踏ん切りがつかないのはヤンキースのこともあるが、もうひとつ“国民栄誉賞まで受けてしまった以上、ヘタな成績を残すわけにはいかない”という慎重さゆえだろうね」(前同)

 しかし、我らがミスターも、今年で御年80歳。そんな恩師が自分のために粉骨砕身してくれているのを見て、松井氏も意気に感じないはずはない。「その兆しが、春季キャンプで見せた、若手への熱血指導に表れていました。“貧打”と呼ばれた今年の巨人が意外にも打撃好調なのは、そのおかげとも言えます。ですが、その重い腰を上げさせるには、もう少しミスターの力を借りなければならないでしょうね」(前出の専門誌記者) ゴジラが再び「Gの55番」をつける“メークドラマ”が、はたして起こるのか否か。いずれにせよ、今後も、その動向から目が離せないことだけは確かだ。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2