「人によっては、頭痛やめまい、鼻づまりなどの症状が出ることがありますが、一時的なものなので心配はいりません」(前出の室田院長)

 前述したレビトラやシアリスも基本的にバイアグラと似た化学構造のため、似たような副作用があるという。違いは、効果が表れるまでの時間や持続時間だ。バイアグラは1時間ぐらいで効いてくるが、レビトラは20分後ぐらい。持続時間にも差があり、バイアグラは4時間ぐらいしか効果が続かないが、シアリスは36時間も持続するという特徴がある。

 数多く揃ったED薬。だが人間、不安は尽きないもので、ネットなどを見てみると「ED薬は、一緒に何を食べても安全なの?」「お酒と一緒に飲んでも平気?」といった疑問が、いくつも寄せられている。実際のところ、ED薬に「これはやってはいけない!」というような、危険な食べ合わせは存在するのだろうか?

 まず、意外なのがグレープフルーツだ。柑橘類の中でも、特にグレープフルーツには「フラノクマリン酸」という物質が多く含まれる。これはED薬を分解する酵素の働きを阻害するため、ED薬の代謝が遅くなり、血中に、その効果成分が長い間残ることになる。結果、前述したED薬の副作用であるめまいや頭痛、頻脈などが増長されることもあるようだ。

 ただし、室田院長によると、「ただちに命の危険があるようなものではないので、そこまで過敏になることはない」と言う。「酵素が分解できなくなるのは、かなり多量にグレープフルーツを食べたときでしょう。私は患者さんに“グレープフルーツはダメ”とまでは特に注意していませんが、ED薬を飲んだらなるべくグレープフルーツを食べないようにすれば十分だと思います」(前同)

 フラノクマリン酸はグレープフルーツの外側の皮や果肉との間の白い薄皮の部分に最も多く、次いで果肉の部分にも含まれている。さすがに皮は食べないだろうが、果肉を大量に食べてED薬を飲むと血中の成分濃度が高くなり、血管が過度に拡張して血圧が低下することは考えられなくはない。場合によっては意識が朦朧(もうろう)としてくることもあるので、この状態で風呂に入ったりすると、そのまま湯船で溺死……なんてことにもなりかねないのだ。

 行為の前には飲酒をしているケースも多いので、普段より判断力が鈍ることも考慮し、ED薬の服用時には、バーやスナックなどで出てきても、グレープフルーツ(ジュースも含む)は控えておいたほうが賢明だろう。なお、フラノクマリン酸はグレープフルーツ以外にもスウィーティ、ザボン、ブンタン、ダイダイなどにも含まれているが、必ずしもすべての柑橘類というわけではなく、逆にバレンシアオレンジ、レモン、カボス、温州ミカン、スイートオレンジなどにはほとんど含まれていない。

 さて、先ほど「飲酒時の服用」についての疑問があったが、ED薬はアルコール類と一緒に飲むと、いかにも体に悪そうなイメージがある。しかし意外や意外、実際はそうでもないのだという。

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