昨季、トリプルスリーを記録した山田哲人(24=ヤクルト)は、大阪・履正社3年の10年に、夏の甲子園に出場。初戦の天理戦で本盗を決め、履正社の夏の初勝利に貢献した。2回戦の聖光学院戦では本塁打を放つも、チームは惜敗。甲子園での成績は打率.667、本塁打1本となっている。

「山田は幼稚園の頃から、逆立ちで園内をウロウロするような子どもで、運動能力はズバ抜けていました。ただ、明確な目的があって野球をしていたわけではなかったようです。変わったのは高2。ドラフトで1年上の選手たちが次々プロ入りするのを見て“プロ”という目標ができたといいます。以来、練習に打ち込み、走攻守に磨きがかかった選手に成長しました」(持木氏)

 履正社では毎年、選手のスイングスピードのデータを取っているが、山田は同高の5年先輩のオリックス・T-岡田と並ぶスピードを記録。当時は“T-山田”と報道されていた。その三冠王を達成しそうな山田を猛追するのが、筒香嘉智(24=DeNA)。

 3戦連続2ホーマーという王貞治を超える偉業を達成した筒香は、DeNAのお膝元、神奈川の横浜高出身だが、実は生まれは和歌山県。強豪校は全国から有力選手をスカウトするのが常道だが、筒香の場合は自ら横浜に“入れてほしい”とテストに来たという。

「打たせてみてビックリ。守備も脚力も見る必要がないほどの打撃で、一も二もなく合格だった」と、当時の渡辺元智監督、小倉清一郎部長のコンビがスケールに惚れ込み、1年生から4番に据えた。

「高校時代の筒香は“天性のスラッガー”といわれるのを嫌っていました。どちらかといえばどんくさい子どもだったのを、10歳年上のお兄さんに無理矢理やらされる形で、10歳のときから野球の基礎を身につけ、不器用さを一つ一つ解消していった。彼のパワーは決して生まれ持ったものではなく、努力の結果なんです」(持木氏)

 筒香は甲子園で08年、2年夏の聖光学院戦で満塁ホーマーを含む2打席連続本塁打で1試合最多タイ記録の8打点を記録。同大会では打率5割2分6厘、3本塁打、14打点と輝かしい活躍を見せている。

「小倉さんにお話を聞いたことがあるんですが、筒香選手について“こんなに球を飛ばせるバケモノがいるんだ、と思った”とおっしゃっていた。あまり人を褒めない小倉さんの言葉だけに、筒香選手はケタ違いだったんだと感動しましたね」(いけだ氏)

 今年も新たな「原石」が甲子園に現れるだろう。その輝きを目に焼きつけたい。

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