打撃不振の責任は主軸だけではない。今年の巨人の大きな問題は、2番が固定できないこと。今季だけで、実に11人もの選手が2番を打ったが、誰一人として合格点には達しなかった。その中でも、マシだということで夏場の勝負どころでは橋本到が使われていた。

「しかし、彼があまり塁に出ないものだから、3番の坂本がいくら打っても、相手にプレッシャーを与えられないという悪循環でした。橋本もせっかくスタメンというチャンスが巡ってきたのに、その期待に応えられなかった」(前出のデスク)

 前出の黒江氏もこう嘆く。「結局、誰もいないから使われていただけで、巨人の2番打者はお粗末だったね。粘りも何もない。ただ漫然と振り回すだけで、少しでも多くの球を投げさせようとか、フォアボールでも出塁してやるという2番打者としての役割が分かってない。かつての巨人にあったフォア・ザ・チームの“伝統”が消えてしまったね」

 以上、V逸の戦犯を挙げてきたが、すべての元凶が、チームの状況を見て、選手を補強すべきフロント陣にあることは間違いない。「投手陣から、不満が噴出している小林を使っているのも、すべてフロントの責任です」(ベテラン記者)

 というのも、昨オフに“小林では無理”との声が早くも現場から上がっており、原辰徳前監督が、昨オフにFA権を取得した楽天の嶋基宏捕手を取ってくれと直訴していたというのだ。「それなのに、フロントはドラフト1位で小林を取っているのだから、小林を使ってくれと、原前監督の願いを突っぱねた」(前同)

 リリーフ陣の崩壊も、その予兆は昨季から出ていたにもかかわらず、フロントはなんの手も打たなかった。「往年の巨人なら、ソフトバンクのサファテなど有力なリリーバーを、カネを積んで強奪してくるくらいのことはしていたのに、今のフロントには、そんな力もない。メジャーから連れてくる外国人は外ればかりで、選手を見る目もない。このフロントで2位なのが、もはや奇跡としか言いようがないですよ」(同)

 常勝軍団の復活を期待しているファンのためにも、一刻も早いチーム改革が望まれる――。

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