稀勢の里はもう横綱になれない!? 「横綱の器」度を再検証する!!の画像
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 今年に入ってからは抜群の安定感を見せるも、綱取りがかかった大事な場所の初日にまさかの“土”。おいおい、ホント大丈夫なのかい!?

 大相撲秋場所初日(11日)、満員御礼の両国国技館に悲鳴が轟いた。これまで3場所連続で12勝以上という安定した成績を残し、18年ぶりの日本人横綱誕生がかかっている大関・稀勢の里が、平幕・隠岐の海にあっさり寄り切られ、黒星発進となったからだ。

「昇進の条件は、もちろん自身初の“優勝”。決して簡単なものではありませんが、今場所は横綱・白鵬が休場するという、またとないチャンスだっただけに、相撲ファンの落胆ぶりは相当なものでした」(全国紙記者) これを視察した横綱審議委員会の守屋秀繁委員長も、その不甲斐ない相撲内容に「(綱取りは)もうないね」と、失望感を露わにした。

 しかし、2日目はまるで別人。相手は先場所で黒星を喫している小結・栃煌山だったが、左からの強烈なおっつけで相手の体を半身にさせ、そのまま押し出す“横綱相撲”を見せた。前日に続いて来場した横審の守屋委員長も「こういう相撲を取ってくれれば、(昇進に)希望が持てる」と発言を一転。それだけインパクトのある一番だった。

 だが、しかしである。3日目には平幕・栃ノ心の変化についていけずに敗戦。「そもそも横審は、横綱昇格の条件として、ずっと“2場所連続優勝”にこだわり続けてきたんです。それを、ここ3場所の内容を考慮して今場所の優勝で昇進という指針を出したこと自体、温情措置だったわけですから。それなのに、序盤で平幕相手に2つも星を落としまいました」(前出の全国紙記者)

 はてさて、稀勢の里は強いのか、それとも弱いのか。盛り場などでは、稀勢の里が横綱にふさわしいかどうか、早くも「大論争」が沸き起こっている。東京・新橋でホロ酔い気分のサラリーマンを直撃すると、「初日の取組、テレビで見たよ。緊張してガチガチだったのが素人目にも分かったね。その緊張感から解放されたい一心で強引に攻め、返り討ちにあった感じだね。あれじゃ、横綱は務まらないよ」(50代・男性)

 確かに稀勢の里はノミの心臓といわれるほど、ここ一番に弱い。どのように弱かったのか、相撲ファンの期待を裏切り続けてきた彼の経歴を振り返ってみよう。まず、あえて断りを入れておくが、稀勢の里は決して弱い力士ではない。それどころか、稀代の天才力士である。

 18歳3か月での幕内昇進は史上2番目、19歳11か月での三役昇進は史上4番目の年少記録。しこ名をつけた鳴戸親方(元横綱・隆の里=故人)の願い通り、稀な勢いで駆け上がってきたのだ。そこまでは……。しかし、三役昇進後は好調と不調の繰り返しで、二桁勝利を挙げたかと思うと次の場所では負け越したり、その逆だったりの連続だった。結局、2011年に大関昇進を果たしたが、新入幕から42場所を要しての昇進は史上5番目のスロー出世。それまでとは真逆の記録を残している。

「実は、この昇進のときもメンタルの弱さが露呈しているんですよね。大関昇進の目安は直近3場所で33勝なんですが、その33勝目がかかった千秋楽の大一番で負けているんです。結局、相撲内容で昇進が決まったんですが、一部では“甘いんじゃないの!?”なんて声も上がったくらいです」(ベテランの相撲記者)

 大関になってからも、ここ一番での取りこぼしは変わらず。その典型的な例が2013年の夏場所だろう。13日目まで全勝だったにもかかわらず、14日目に白鵬との全勝対決で黒星を喫し、さらに千秋楽でも敗れ、優勝決定戦に出場することさえかなわなかった。

 ちなみに、この13勝が“優勝に準ずる成績”と見なされ、翌場所が綱取り挑戦となったが、そこでは11勝4敗で優勝争いに絡むことができずに失敗。その翌年にも13勝を挙げた翌場所に綱取り挑戦となったが、こちらも棒に振っている。

「今年の春場所から13勝、13勝、12勝と、“優勝に準ずる成績”で綱取りへの望みをつないできましたが、裏を返せば、どこかで優勝していれば横綱になっていたはずです。とにかく優勝ができない。こんなメンタルでは、仮に横綱に昇進したとしても、その重圧に耐えられるかどうか……」(中堅の親方)

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