真実味を帯びる最大の理由は、これまで多くの主力を惜しげもなく放出してきた「球団の歴史」だ。日ハムは、出たいという選手をあえて引き留めようとしない。ダルビッシュ有然り、小笠原道大然り。FAであれ、ポスティングであれ、「去るものは追わず」が、このチームの方針なのだ。「それどころか、出て行こうとする選手には非情な措置を取る場合もある」(同)

 たとえば13年1月のこと。翌年にポスティングでメジャーに挑戦すると宣言した当時の主砲・糸井嘉男が、その希望を口にしたとたん、オリックスとの間で電撃トレードが成立、まさかの放出劇が起きた。「どうせ出て行くなら、その前にトレードに出して、いい選手を獲得するという“商売”を考えたと思えなくもない」(同) 中田の場合も事情は同じになるだろう。

 FA移籍した場合に日ハムが獲得できるのは、相手球団のプロテクト枠を外れた「人的補償」の選手と、中田の年俸の半分の金銭のみ。いい話があるなら、FAで出て行かれる前に、有力選手を引っ張るためのカードとして中田を使えるのは、日ハムにとって悪い話ではないのだ。ただ、そこで問題になるのは、現在の阪神に中田に見合う選手が出せるのかどうかということ。前出の江本氏が言う。

「今、日本ハムは先発投手が足りません。リリーフの増井を先発に回さなければいけないほど、投手のやりくりに困っていますからね。先発投手と交換という条件なら、阪神とのトレードは十分ありうると思います。ただ、本気で中田を獲りに行くなら、やはり能見クラスの放出は覚悟しなければならないでしょう。中田プラス若手1名に能見プラス若手1名の“2対2”あたりが現実的でしょうね」

 実は、阪神と日ハムの間には、02年オフには下柳剛、07年オフには金村暁が日ハムから阪神へ移籍するなど、過去に多くの大型トレードを成立させているという「客観的事実」がある。このレールに中田が乗ったとしても、決して不思議なことではないのだ。阪神の主砲となった中田が甲子園でホームランを量産し、金本監督を救う。そんなシーンが来季は見られるかもしれない!?

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