重大病のサインを見逃すな!「男の貧血」にご用心の画像
重大病のサインを見逃すな!「男の貧血」にご用心の画像

「女性じゃあるまいし」と侮ることなかれ。がんや内臓出血、持病薬が原因の場合も! 体が発する警告に、きちんと対処すべし。

「つい先日も“貧血”だという患者さんが見えられたのですが、胃の検査をしたら胃がんと思われる腫瘍が見つかり、大きな病院を紹介しました。このように、男性の貧血は“重大病のサイン”であることが多いので、決して侮ってはいけません」

 開口一番、こう注意を促すのは、東京・蒲田で『宮元通りクリニック』を開業する渡会敏之院長だ。読者の中にも、貧血を女性特有の病気と思い込んでいる方は多いだろう。

 しかし、それは早計。女性の貧血は、生理や妊娠・出産との関係が深いが、“男性の貧血”には胃がんや大腸がん、十二指腸潰瘍などの重大病が潜んでいる可能性が高く、注意すべきなのだという。しかも複数の統計で、シニア世代の10人に1人が貧血を患っているという衝撃の事実もある。

「胃がんにしろ大腸がんにしろ、初期段階なら貧血を起こすほどの出血は一般的にありません。ですから、男性が貧血を起こすということは、病気がかなり進行している可能性が高いのです」(前同)

 つまり、中高年男性の貧血は体が発する警告なのだ。貧血というと、失神や立ちくらみ、めまいを思い浮かべるが、顔面蒼白や全身の倦怠感、胸痛、動悸、息切れという症状が出ても、貧血状態に陥っている可能性があるというのだ。

 そもそも貧血とは、血中の鉄不足や、血液自体が少なくなることが原因である。「酸素を全身に行き渡らせる働きをする血中のへモグロビンの不足が、体内の酸素不足を引き起こし、低酸素状態になるためです」(同)

 採血をして血液中のヘモグロビン値を測れば、貧血かどうかはすぐ分かる。男性の場合、血液0.1リットル中のヘモグロビン値が、13グラム未満かどうかが目安になる。冒頭の患者の場合、その数値が6.2グラムと半分以下だったそうだ。なお、ここで気をつけたいのが貧血と脳貧血との混同だ。「脳貧血は脱水症状や急な立ち上がり、ストレスから来る自律神経障害、高齢による血圧の調整機能の低下などで、脳に一時的に十分に血液が運ばれないために起きます」(同)

 貧血も脳貧血も立ちくらみや、ふらつきなどの症状は共通するのだが、「どちらかを見分けるのは可能です。脳貧血による立ちくらみなどの症状は、そう頻繁に起きません。ふらつきや目まいが一度だけなら脳貧血、繰り返し何度も起きるのであれば貧血を疑ってください」(同)

 渡会氏が、簡易ではあるが、貧血の自己チェック法を教えてくれた。それは、鏡の前で自分の目の下を手で引っ張り、その色を見るというもの。「赤味を帯びていれば健康ですが、白ければ貧血かもしれません」(同)

 赤味を帯びているのは目が充血していて不健康な証拠で、白ければ健康と誤解してしまっている人も多いのではないだろうか。また、体内のどこかで出血していれば、ヘモグロビンの数自体も少なくなるため、貧血症状が現れるのだが、これは排便時に、その色を見ることで分かるものもあるという。

「便が黒ければ、胃や十二指腸からの出血が疑われます。胃酸や消化酵素の働きで血が黒くなるからです。これに対して便が赤ければ、大腸からの出血が考えられます」(同)

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