A 陽岱鋼なんてかわいそうだったよね。今季もあれだけ活躍したのに、日本シリーズでは守備固めだもん。あれじゃ、“今オフのFAで出てってください”って言ってるようなもんだよ。

C 確かに。大谷が残ってくれたら戦力的に助かるのは間違いないけど、ただでさえ、中田翔との“年俸バランス”で頭が痛いのに。

D 今シーズン、打率.250、本塁打25、打点110の中田は2億8000万円で更改。打点王を獲って日本一に貢献したわけだから3000万円アップではちょっとシブい。でも、MVPを獲った大谷は今季の2億円から大幅アップするでしょうからね。

A いや、分かんないよ。球界には年俸の“不文律”ってのがあってね。昔、王貞治が2年連続三冠王という偉業を達成したときでも、長嶋茂雄の年俸を超えることはできなかった。つまり、“チームの顔”は誰かって話なんだよ。中田が大谷に抜かれたら、相当ヘソを曲げるだろうね。(編集部注:後日、大谷は7000万円アップの2億7000万円で更改した。)

B そういう意味では今回、巨人では明らかな“トップ交代”があったよね。

C 阿部慎之助と坂本勇人ですね。阿部の来季の年俸が6600万円減の2億6000万円だったのに対して、坂本は1億円増の3億5000万円。完全に立場が逆転した形です。

D 阿部は例のグラビアアイドルとのスキャンダル以来、完全に首脳陣の信頼を失ってしまいました。

A それだけじゃないよ。実は阿部の今季の成績は、決して悪くないんだ。4番を任されて3割以上打ってる。ただ、91試合しか出ていないんだ。満身創痍なのは分かるけど、チームが大変なときに、なかなか復帰しなかったことで不信感を持つ首脳陣もいるはずだよ。

C そもそも査定の基準って、何なんですかね。

B 最も重視されるのが出場機会。打者なら打席数、投手なら投球回数を細かくカウントして評価するんだ。

D それじゃあ、リリーフ投手は不利なんですかね。

B リリーフ陣の場合は登板試合数だね。でも、出番がない試合もあるから、ブルペンで肩を作った試合もきっちりカウントしてるよ。

D 菅野智之の年俸が1億円増の2億3000万に上がったのも、しっかりローテを守ったから、ということですね。

A あとは最優秀防御率のタイトルもあるから当然の結果でしょ。でも、実はそれだけじゃないんだ。DeNAからFA宣言して巨人入りが決まった山口俊だけど、中日が好条件を提示し、獲得額が高騰したみたい。山口を優遇しすぎるとチーム内のバランスが崩れるから、菅野の年俸も釣り上がったってわけ。

C そういえば、今年の巨人の補強は、山口とか森福允彦とか、FA戦線でも、堅実というか、地味ですよね。岸孝之、糸井嘉男の争奪戦から早々と降りてしまった。

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