「09年の第2回WBCでは大会直後に、イチローが神経性胃炎になったほか、松坂大輔、村田修一、藤川球児などが軒並み、ケガや不調に悩まされました。それでなくても開幕前の3月にピークを作らねばならず、大谷にだけは負けたくないという意識が、ケガを呼ぶ可能性がある。菅野に何かあったら、巨人は終わりです」(前同)

 ここまで巨人軍来季V逸の理由を数え上げてきたが、最後にして最大の問題が、指揮官・高橋由伸監督の采配だ。選手時代から孤高を貫くタイプで、チーム内でのコミュニケーションに苦労する監督1年目となった。

 11月5日に放送された『プロ野球 珍プレー・好プレー大賞』(フジテレビ系)では、司会の中居正広が高橋監督との関係をゲスト出演者の阿部に尋ねると、「僕らが一線を引いてしまっている部分もあるので、(高橋監督が)“寂しい”って言ってたみたいです」と回答。さらに阿部は、「監督、って呼んでないですね」と、ほとんど会話がないことを暴露したのだ。

 黒江氏も、選手と高橋監督との関係を気にかける。「心配なのは、高橋由伸。由伸とOB会で話したんだけど、どうにも覇気がない。いろいろ指摘すると“一生懸命やってるんですけど”と言うんだけど、“来年はやるぞ”という気持ちが感じられない。指揮官がやる気を表に出さないと、選手には伝わらないよ」

 前任者の原辰徳監督は、コーチにも選手にも、まず結果を求めるスタイルを貫いていた。高橋監督も鬼になる必要があるだろう。「巨人は積極的に補強に動いたが、これで高橋監督は言い訳がきかなくなった。来年は、今年以上の成績を収めてほしいね」(前同)

 ちなみに、2リーグ制以降で、監督初就任から2年目で優勝を果たしたのは、51年の水原茂と75年の長嶋茂雄のみ。川上哲治、藤田元司、王貞治といった名将も破れなかった“2年目のジンクス”が高橋監督に襲いかかることになる。

「“昔から巨人はヨソのチームから選手を引っ張ってきた”というが、これまでは張本勲にしても落合博満にしても“大きいの”を一つ補強する形だった。今回のように、足りないところをすべて外から補う形だと、みんながやる気をなくしてしまう。先を見据えていないのは問題だ」(須藤氏)

 順風満帆のはずが、前途に待つのは大荒れの海。由伸丸は、この波を乗り越えることができるだろうか。

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