1枠1番を引き当てた第61回有馬記念――。ゴール前、ここ! という最高のタイミングで差し返したと思ったのですが、最後の最後で力及ばず、キタサンブラックとの今年最後の祭りは、クビ差の2着に終わりました。

 マルターズアポジーの逃げは想定内。離れた2番手で気持ちよく走り、隊列が決まったときは、よし、これでいける! という手応えを掴んでいました。ルメールとサトノダイヤモンドが前に進出してくるだろうことも、直線入り口でゴールドアクターが並びかけてくるだろうことも、頭の中には入っていました。

 向こう正面。サトノダイヤモンドと入れ替わるように上がってきたサトノノブレスにつつかれていなければ……。そう思わなくもありませんが(苦笑)、しかし、それも、これも、競馬です。

 産経大阪杯2着。
 天皇賞・春1着。
 宝塚記念3着。
 京都大賞典1着。
 ジャパンカップ1着。
 有馬記念2着。

 2016年は、キタサンブラックとともに駆け抜けた一年でした。それは今年も変わりません。どこから始動して、春はどのレースを走り、秋はどこを目標にするのか。すべてはこれからですが、僕個人としては、凱旋門賞への挑戦――フランスで、北島三郎オーナーの『まつり』を聴きたいと思っています。

 さて今年は、騎手になって3度目の酉年を迎えることになりました。12年前。前回の酉年といえば……そうです、ディープインパクトが三冠に輝いた年でした。あれからもう12年も経つんですね。ちょっと、いや、かなりの驚きです(笑)。

 あの年は、JRAでの勝利は年間212勝。ディープ以外でもアドマイヤマックスで高松宮記念。エアメサイアで秋華賞。カネヒキリでジャパンCダートを勝ち、あわせて6個のG1を制覇。自分でも“すごいな”と思えるほど、記憶にも記録にも残る一年でした。

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