ジョッキーになって3度目の“年男”。2017年の競馬がスタートしました。開幕初日のメインは、これがなければ新しい年は始まらないといわれるほど心浮き立つ東西の金杯。ここを取って幸先の良いスタートを切りたいと願うのは、ホースマンもファンも同じです。その記念すべきレースで1番人気に支持されたのが、昨年のクラシックをともに戦ってきたエアスピネルでした。

 一年という長いスパンでG1を考えたとき、毎年、「今年はこの馬で!」と思わせてくれるパートナーが何頭かいますが、昨年は、キタサンブラック、アウォーディー、そして、このエアスピネルが、その柱となるべき存在でした。ところが、キタサンブラック、アウォーディーが素晴らしい走りで結果を残してくれたのに比べると、皐月賞4着、日本ダービー4着、菊花賞3着と、いいところまではいくけど、あと一歩が届かない。チームのスタッフにも、ファンにとっても、僕自身にとっても歯がゆい一年となってしまいました。

 今年こそ――思いはみんな同じのはずです。だからこそ、ブラックスピネルの猛追をハナ差しのいでの優勝という結果には、ようやく勝たせてあげられたという歓びを感じていますが、ヒヤヒヤものの内容には満足していません。僕が期待するエアスピネルは、まだまだ、こんなものじゃない。今年、この馬にかける思いは、それだけ大きいものがあります。

 奇しくも、前回、この京都金杯を制したのは、12年前の酉年、“年男”だった05年でした。――それは、たまたまでしょう?

 確かにそうなんですが、この年は、ディープインパクトの三冠を含め6つのG1を制し、JRAでの年間勝利数も212という記録を達成した、心身ともに最高に充実した一年で、こんな偶然ならいつでも大歓迎です(笑)。

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