これのどこが“最終的かつ不可逆的”解決なのか。しかも、日韓合意後に韓国国内では、少なくとも新たに15体の像が設置されたといわれる。最終合意して、10億円を受け取ったのに、あとは知らんぷり。さすがに安倍首相も、堪忍袋の緒が切れたという。

「NHKの放送では言葉を選んでいましたが、安倍首相の周辺からは“まるで振り込め詐欺だ”という声も上がっています」(全国紙政治部記者)

 一方、韓国国民も反省しているのかと思いきや、「“慰安婦問題を金で解決できると思っているのが誤り”“そもそも加害者の日本が偉そうな口を叩くな!”という意見が主流」(在韓通信社記者)だという。韓国最大野党「共に民主党」ナンバー2の禹相虎院内代表も、日本がうるさいから「予備費を編成して10億円を返そう」と呼びかける始末。国民を代表する立場にある国会議員が、この体たらくなのだ。

 室谷氏も「だから、まともに、あの国の相手をしたらいけないんですよ」とあきれ返るが、日韓議員連盟の幹部で親韓派として知られる二階俊博自民党幹事長も、今回ばかりはご立腹。「なかなか面倒な国だ」とあきれつつ、「韓国にとっても、なんの得にもならない」と警告している。

 その言葉通り、安倍首相が即時発動した対抗措置に、韓国政府や財界は戦々恐々としているという。安倍首相は駐韓全権大使の他、森本康敬・釜山総領事も一時帰国させ、さらに、次官級による日韓ハイレベル経済協議の延期と、麻生太郎財務大臣の同意で日韓通貨スワップ(交換)の協議中断を発表した。

「日本と違って内需が乏しい韓国経済は、日本などから輸入した高性能の精密部品を加工して製品化し、中国やアメリカなどに輸出することで成り立っています。韓国の国内総生産(GDP)で輸出が占める比率は45.9%(15年ベース)にも上っているんです。ところが、16年には前年同期比で輸出入額とも約10%減少しており、経済が大きく低迷中です」(経済誌記者)

 最大の貿易相手国である中国への輸出も、昨年11月までに前年同期比で10.9%も減少。さらに、各国からは安い製品を売りつけているという“ダンピング批判”を浴びている。

「昨年、各国が韓国製品の輸入を規制するために、新たに調査に入った品目は40に上ります。アメリカのトランプ新政権が進めると予想される保護貿易の矛先が韓国に直接向けられるという見方もあり、今年は韓国企業の株価は、さらに下落しそうです」(前同)

 アメリカは、韓国の貿易黒字額全体の3割を占める“お得意様”である。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4