今の政治の世界は、難問が山積みでよほどの覚悟がないと、務まらない。例えば、社会保障だって、高齢者は年金を払った、若い世代はなんで一人で3人も4人も高齢者を支えなきゃいけないんだとなる。

 だけど、やっぱり我々年寄りは、若者に対して、逆に支えになってやるくらいの気骨がほしい。年寄りには、体力はなくても知恵はあるんだから。逆に、若者から頼られるようにならないと。

 政治家っていうのは、あるべきものをあるべきところにちゃんと納めるっていうこと。例えば、馬の糞を部屋に置いていたら、臭いと思うわけだ。でも、それを畑に持っていったら、肥やしとして有効に活用ができるわけです。

 これは人生も一緒。人生で経験したことに無駄なことはないんですよ。僕は国会議員の中でも、僕ほど経験した男はいないんじゃないかっていうくらい人生を経験した。それが活かされているかどうかはわからないけど、無駄な経験だと思っても、置くところや捉え方によって、光ったりする。やっぱり、どんなものでも、活かしていこうっていう発想がないと、人生はダメでしょうね。

撮影/弦巻 勝

村上正邦 むらかみ・まさくに
1932年、福岡県生まれ。拓殖大学政経学部卒業後、65年に玉置和郎参議院議員秘書に。80年に、参議院選挙に出馬し、初当選。以来、4選を果たす。92年には、宮澤改造内閣に労働大臣として初入閣。95年、参議院自由民主党幹事長、99年、参議院自由民主党議員会長などを歴任。参議院で絶大な影響力を持ち、参院のドンと呼ばれていた。01年、KSD事件を巡る受託収賄罪容疑で逮捕。有罪となり、10年に刑期満了。現在、再審請求中。現在は政治団体『春風の会』代表を務める。

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