また、“やり残しリスト”の作成も若返りに有効。「“野菜ソムリエの資格を取りたい”“海外で働く親友に会いたい”など、時間の制約などから、いまだに実現できていないことをリストアップします。すると、実現に向け、スタートしようという意欲が湧いてくるはずです」(奥村氏)

 特別に高い目標である必要はなく、新たな趣味を持ったり、バイクの免許取得でも十分だという。そして、前出の樺沢氏が脳の若返りに必須と語るのが運動だ。「有酸素運動をすると、脳神経の栄養因子であるBDNFというタンパク質の一種が増え、海馬などが活性化することが、この10年ほどの研究で分かってきているのです」

 体を動かすにしても、ジムのランニングマシーンでひたすら走る――といったような、目を瞑っていてもできる単純動作よりは、難しいと感じるものがベスト。「ウォーキング、水泳なども、やらないよりは断然良いのですが、できれば社交ダンス、エアロビクスなど複雑な動きがあるもののほうが、脳をより刺激するため、効果が期待できます。時間の目安は週3回で、1回30分以上です」(前同)

 また、趣味を持つのも若返りの秘訣。「読書、それにチェスや囲碁、将棋といったボードゲーム、麻雀でも効果があることが分かっています。たとえば読書の場合、少し前の行に何が書かれているか覚えていないと、読んでいても意味が分からないですよね。その結果、年齢とともに衰える脳のワーキングメモリー機能を鍛えられるのです」(同)

 さらに、睡眠をしっかり取ることも重要。目安は1日6時間以上だという。「アルツハイマー病患者の脳では、大量のアミロイドβの沈殿(老人斑)が見られますが、睡眠時に、この老人斑を掃除してくれていることが、最近の研究で分かってきています」(同)

 また、勤め人なら昼休みにぜひ実践したいのが昼寝。「30分以内の昼寝は、認知症のリスクを5分の1にするというデータもあります」(同)

 昼食から戻ったら、席で10分程度、目を閉じるだけでも効果はある。しかも、ランチがカレーなら言うことなし!「インド人のアルツハイマーリスクは、米国人に比べ、たった4分の1とのデータもあります。これは、カレーに含まれるウコンの中の“クルクミン”というポリフェノール成分が脳を活性化するおかげだと考えられます」(生田氏)

 糖尿病の人は、そうでない人に比べ、アルツハイマーのリスクが2倍という事実からも、日々の食生活が重要なのは明らかだという。それは、飲酒についても同じこと。深酒は脳の大敵だ。「アルコール依存症の人は脳が萎縮し、もの忘れが酷くなります。逆に、禁酒すると改善するのです。脳にとって深酒は、タバコより悪いんですよ」(樺沢氏)

 以上を実践し、脳みそも“生涯現役”を目指したい。

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