人生だって、流れが来ているからって調子乗っていたら、思わぬところで躓いたりすると思うんです。だから、今の状況を冷静に分析して、リスクとリターンを考えて、論理的な思考で選択する。

 まあ、僕は放銃なんてしょっちゅうで、“また、やっちゃった”の繰り返しですけどね(笑)。理不尽な負け方をすることも、多々あるし、もう負けることに慣れました。

 ただ、声を大にして言いたいのは、放銃の失点は、目に見えて失点ですが、放銃するような牌を切っていくことで得している部分もあるってこと。きっとこれは、人生でも同じなのかと思うんですが、リスクを取って自分の手を仕上げなければ、アガれない。アガれないと勝てないわけですから。最近は、いかに放銃しないかに腐心する方が多いですが、守りはあくまで補助的なものでしかなくて、勝つコツはいかに攻められるかだと思うんです。

 最近出した『迷わず強くなる麻雀』も、その考えに基づいた教則本なんですが、攻め方を知っているからこそ、オリることができるんです。そもそも、放銃を恐れて、攻められないような性格だったら、プロ雀士になんてなってなかったと思います(笑)。ただ、ズケズケ行く性格だから、よく先輩なんかに目をつけられて、たたかれたりしますけどね。

 でも、放銃という失敗を恐れていては勝てませんから。最近は世界大会などに出させてもらえるようになってきたんですが、世界でも攻めの麻雀で戦っていきたいですね。

撮影/弦巻 勝

鈴木・たろう すずき・たろう
1973年、茨城県生まれ。日本プロ麻雀棋士会に所属したのち、05年に日本プロ麻雀協会へ移籍。09年に同協会の最高峰のタイトルである第9期雀王のタイトルを獲得。その後、第11、12、13期と前人未到の雀王3連覇を達成。15年には世界最大級の麻雀大会『ワールドシリーズオブ麻雀』にて準優勝を果たす。ほか、数々のタイトルを獲得した経歴を持つ。近年は『NMB48須藤凛々花の麻雀ガチバトル!りりぽんのトップ目とったんで!』(TBSチャンネル1)の講師として出演するなど、活躍の場を広げている。

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