「あの優勝で“自分たちは強い”と勘違いすると、イメージと実際とのズレに戸惑い、調子を落とす。去年の日本一は“まぐれ”だったと反省しないと、ズルズルいってしまいかねませんよ」(前同)

 大谷の「二刀流」のツケもある。「ウチは彼を“二刀流”ではなく投手として見ているので、変な走塁などしてケガされたらたまらないと、ずっと思っていたんです。その不安が、まんまと的中してしまった」(メジャー某球団の極東担当スカウト)

 前出の江本氏も、このように語る。「もともと、投手と打者の両方をプロの高いレベルでやり続けることに無理があるんです。これまでは才能で、その無理をカバーしてきたわけですが、そろそろ限界と見るべきでしょう」

 昨年10勝4敗、打率.322、本塁打22本の活躍を見せた大谷だが、冷静に考えると、規定打席にも規定投球回数にも達してない、単なる「参考記録」。「球団は“本人の希望”と言いますが、週に1回しか試合に出られない投手専任ではなく、打者も兼任させることで集客したい球団の思惑もありますからね」(スポーツ紙デスク)

 ある意味、大谷のケガを招いたのは球団の経営体質だとも言える。いわば、これが「第四の呪い」だ。「日本ハムは、12球団の中で最もメジャーに近い球団経営をしています。親会社に依存しがちな日本球団の中で、独立採算を目指し、“利益の追求”に重きを置いているんです」(前同)

 日本ハムは現在、客席数約4万人の札幌ドームに本拠地を置いている。だが、実はドームは札幌市の所有物で、球団は1試合につき、使用料約1600万円を札幌市に支払う。これでは、ソフトバンクのような経営は到底できないのだ。

「そのため、<年俸3億円を超える選手は、原則として移籍させる><FA宣言した選手は引き止めない>というのが、日本ハムの不文律となっています。いくら人気のある選手でも、惜しげもなく他チームや海外に放出し、移籍金を手堅く稼ぐ球団なんです」(前出のスポーツ紙デスク)

 人気絶頂だった新庄剛志が引退を表明したときにも、それほど強く引き止めなかった日ハムは、その後も小笠原道大、糸井嘉男、そして昨オフの陽岱鋼など、人気選手を何人も放出している。球団史上唯一の「3億円超プレーヤー」はダルビッシュ有で、2011年の年俸は5億円だったが、これは例外中の例外。その翌年には、彼もポスティングでメジャー移籍を果たした。

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