だが、前出の井上氏が「特に警戒が必要」と言うのは三沢基地(青森県)。「北朝鮮が3月6日に発射した例のミサイルは、秋田県の男鹿半島の西300~350キロ地点に落下しています。そこから東へ移動していった先に三沢基地があります」

 つまり、北朝鮮は三沢基地への攻撃を想定し、日本海へ向けて、ミサイル発射実験を繰り返していたのだ。「三沢基地は冷戦時代に、旧ソ連のウラジオストクを叩くための基地でした。ここにはF16戦闘機が配備され、直接、北朝鮮を攻撃できるようになっています」(井上氏)

 F16は三沢基地から爆弾を搭載し、北朝鮮まで、およそ40分で到達できるという。北朝鮮にとって、それだけ、この基地の存在は脅威でもあるのだ。

 他にも、「海兵隊の航空基地のある岩国(山口県)も攻撃される可能性はあります」(前同)

 山口といえば安倍首相の地元。政治的な狙いもあるとみられる。これらの地域へミサイルが飛来するかは、米軍が北朝鮮へ攻撃するか否かにかかっている。

 だが、Xデーが何事もなく過ぎたとしても油断はできない。逆に北朝鮮が日韓両国に先制攻撃を仕掛けてくる恐れもあるというのだ。

「米中首脳会談の最中に、北朝鮮外務省は“アメリカに再三送った(先制攻撃するという)警告を、やむをえず実践に移さざるをえなくなった”と、攻撃の可能性を示唆しています」(ソウル在住ジャーナリスト)

 また、“共和国(北朝鮮)と運命を共にする”と周囲に語っているという金正恩氏のこと。アメリカにミサイル基地などを攻撃されて恫喝外交の手段を絶たれるより、一か八かの戦術へ出る恐れもあるという。

「その際、北朝鮮が狙うのは在日米軍基地ではありません。米軍施設を狙えば、確実に報復されます。ところが、米軍施設以外を狙えば、日本政府が武力攻撃事態だと認定しない限り、在日米軍は動けないんです」(井上氏)

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