「開幕当初は、15試合で打率3割7分3厘と好調だった阿部ですが、ここにきて調子を落とし、打率2割5分7厘にまで急落。阿部の失速とともに、巨人の勝ち星が遠ざかっていきました。阿部一人の責任ではありませんが、巨人は阿部慎之助のチーム。彼の調子が良ければ浮上するし、悪ければ勝てないんです。まず、阿部が復調しない限り、巨人の復活はありませんよ」(前出のスポーツ紙デスク)

 阿部に次ぐ、ベテランである長野の責任も重い。「10年新人王、11年首位打者、12年最多安打など、数々のタイトルを獲得してきたが、今季は打率2割2分5厘、得点圏打率に至っては1割8分8厘、併殺打も8つ(セ・リーグ2位タイ)と、かつての面影はありません」(前同)

 昨オフ、膝の手術をした後、十分にリハビリの時間を取らなかった影響がバッティングに出ているとの見方もあるが……。「年俸2億2500万円も払っているわけですから、それに見合う結果を出さないと……。このままでは、給料泥棒とヤジられても文句を言えません」(同)

 選手陣だけではなく、問題はコーチ陣にもあると話すのは、前出の黒江氏だ。「こういうときは、確実にランナーを次に進める野球を徹底するという、基本に立ち返らなければならない。それなのに、ベンチの作戦はバントしかない。エンドランや盗塁とか多彩な攻撃をしないから単調なんです。誰かが監督に進言すればいいんだけど、遠慮して何も言えない。問題は(村田真一)ヘッドコーチだと思う。大きな権限を持っているはずなのに、存在感がなさすぎる」

 他にも、阿部や村田修一が故障を気にして、全力疾走をしないが、それをたしなめるべきコーチが注意しないと黒江氏は言う。「今のコーチは、クビになりたくないから何も言わないんですよ」(前同)

 V9時代に名将・川上哲治が行っていた「シーズン中のコーチ陣入れ替えを強行すべし」と言うのは、スポーツ紙ベテラン記者だ。「村田ヘッドを三軍に落として、川相昌弘三軍コーチを一軍ヘッドに持ってくるべき。そうした大胆な人事を行って、もっと監督にズバズバと意見が言えるコーチを据えないと、今の惨状は続いていきますよ」

 選手、コーチともに改革が必要とされるが、それは昨年から指摘されていたこと。それゆえに、昨オフには30億円ともいわれる大補強を敢行した巨人。にもかかわらず、苦戦している大きな原因が、陽岱鋼、山口俊の両FA選手の出遅れにあるというのは、多くの関係者の指摘するところだ。

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