こうした機構改革が実際に実を結ぶまでには相当の時間がかかるが、その間を埋めそうな生きのいい若手は、二軍、三軍を見渡しても少ない。こうした長期的なチーム作りを担うのはGM以下、編成部の仕事だが、実は巨人の最大の“病巣”は、この編成部門が徹底的に軽視されてきた組織文化にある。

「読売グループには、何をおいても新聞が一番で、テレビも球団も単なる子会社という意識があります。勢い、球団にやって来るGMも、歴代、新聞出身の出向サラリーマン。野球に関しては素人で、チーム作りに何の定見もなかったんです」(スポーツ紙デスク)

 現在は現場出身の鹿取GMが就任したことで、多少事態は好転すると見られているが、老川祥一オーナー、石井一夫球団社長も含め、読売グループの“役職”にすぎず、辞任しても生活は保障される。「クビ=無職」のプロの現場で汗をかく選手と、ぬるま湯で意思決定する上層部の間の、この意識の隔たりは大きい。

「12連敗した翌日に、チームを激励に来た老川オーナーが選手の前で“視聴率が下がるから頑張れ”と、完全に広告塔扱いの演説をぶって現場を呆れさせましたが、オーナーでさえ、こんなサラリーマン根性です。一昨年の野球賭博事件を経ても、やはり選手一人一人の生活やメンタルと向き合う姿勢が見えないままだったのを見ると、“山口事件”は起こるべくして起きたとも言えます」(前同)

 7月13日、巨人は一軍の投手コーチに“次期監督候補”とも目される斎藤雅樹二軍監督を昇格させ、チーフ投手コーチ格の尾花高夫コーチをブルペン担当に異動させた。しかし、いずれにせよ、新体制の首脳陣がチーム再生のためのピースと考えていた山口離脱の痛手は大きい。

 大きな闇を抱えたまま、巨人はこの後、巻き返せるのか……。

本日の新着記事を読む

  1. 1
  2. 2
  3. 3