続いて「ドロン葉(ドロンパ)」も“泣き回”として知られている。これはてんとう虫コミック16巻に収録されている話で、最近でも2006年、2012年とアニメで2度リメイクされた人気エピソードだ。

 “ドロン葉”とは、動物の頭の上に乗せることで、人間に幻覚を見せる効果を持つ“ひみつ道具”。これをしずかちゃんの裏の家で飼われている犬のベンに使ってみることに。一日中、つながれっぱなしのベンは、ろくにゴハンをもらえず、飼い主に八つ当たりされるなどの虐待行為を受けていた。

 のび太がベンの頭に“ドロン葉”を乗せると効果が発動し、ベンとその凶暴な飼い主の体が入れ替わってしまう。するとベンはこれまで自由に出歩くことができなかったうっぷんを晴らすかのように、近所の空き地で行われていた野球の試合に飛び入り参加し、大活躍する。

 一方、ベンの飼い主は、首輪につながれたまま犬小屋から一歩も動けず、「これはベンの仕返しかもしれないな。さんざんいじめたからな。すると一生このまま……」と次第に弱気になっていく。そしてベンと仲良く遊んでいた頃の記憶を思い出し、涙を流すのだった。

 その後、ベンが家に帰ってくると、観念した飼い主は「いつも俺がやってるように殴れ!」と泣き叫ぶ。その飼い主の姿を見てベンは満足したのか、入れ替わっていた体が元に戻った。この一件で飼い主は心を改め、夜遅くまでベンを抱きしめるのだった。

 ただ泣けるだけではなく、どこか考えさせられる内容が含まれている『ドラえもん』の感動回。親子で見ることをオススメしたい物語だ。

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