日大山形のエース・庄司瑞は、四球を出すも踏ん張っていた。2-1のまま迎えた7回。日大山形打線が火を噴いた。

「最初はもちろん緊張していました。山形の決勝は人があまりいなかったけど、甲子園はお客さんも多くて(この日は4万6000人)、地鳴りが凄かったんです。だけど、7回になって、甲子園の雰囲気にも慣れてきていました」(吉岡氏)

 この回、一挙に5点を奪うと、“いつかは日大三が逆転するだろう”という球場の雰囲気は一変する。「それ以降は、ファーストを守っていても、相手の動きが鈍かったし、庄司も、こっちを見る余裕ができていました」(吉岡氏)

 庄司の粘りの投球にバックが盛り立て、最後は危なげなく7-1で快勝。日大山形の校歌が甲子園に響いたのだった。

「それまでの目標が甲子園ベスト4でしたが、3回戦の作新学院(栃木)戦の前に、監督から“日本一を目指そう”と言われました」と吉岡氏が話すように、日大山形の実力は本物だった。3回戦の作新、準々決勝も明徳義塾(高知)と名だたる強豪校を次々と撃破。準決勝で、優勝した前橋育英に敗れるも、山形県勢初のベスト4まで進んだ。

「日大三に勝てたのが自信になって、ベスト4までいけました。今後、後輩たちには優勝してほしい気持ちもありますが、自分たちの記録を超えてほしくない気持ちもありますね」(吉岡氏)

 今年の夏も激闘が繰り広げられているが、決勝戦へ向け“筋書きのないドラマ”が生まれるか――。

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