ニンニク「スーパー健康食材」の驚異的パワーの画像
ニンニク「スーパー健康食材」の驚異的パワーの画像

 少し臭いは気になるが、夏の疲れを吹き飛ばすのには欠かせない“あの野菜”を大研究。こりゃもう食うっきゃない!

 厳しい暑さのせいで体力の低下や疲労を感じたとき、ラーメンにたっぷりとおろしニンニクを入れる、焼き肉屋でニンニクのアルミホイル焼きを食べる――この時期、こんな中高年男性も多いのではないだろうか。ニンニクに優れた滋養強壮効果があることは、古代エジプト時代から知られ、ピラミッド建設に従事した労働者たちの貴重な活力源だったという逸話もある。

 ニンニク研究の第一人者である日本大学名誉教授(医学博士)の有賀豊彦氏によれば、ニンニクに効果があるのは、代謝が盛んになり、疲労物質の排出が効率的になるばかりか、ニンニクに含まれる成分がビタミンB1と結びついて疲労回復に有効な物質を作るからだと言う。

「ニンニクは滋養強壮にいいだけでなく、高血圧や高コレステロール、高血糖などの生活習慣病の予防と改善に役立ち、脳梗塞や心筋梗塞の予防にも効果があることが分かってきました。ニンニクはまさに中高年の健康を助けるスーパー食材と言えます」(有賀氏)

 ニンニクが持つ優れた効果を説明する前に、皆さんには一度、生のニンニクを嗅いでいただきたい。いかがだろう。鼻を押し当てても、ニンニク特有の臭いはほとんどしないはずだ。「ニンニクにはイオウを含んだアミノ酸・アリインが多く含まれているのですが、このアリインは無臭。ところが、ニンニクを切ったり、すりおろしたりすると、ニンニクの中にあるアリイナーゼという酵素がアリインと結びつき、アリシンという物質に変わります。これがニンニク特有の臭いとなるのです」(前同)

 臭いがするアリシンが生成されて、いろいろな健康効果が生まれるのだ。このアリシンも熱や油によってスルフィド類と総称されるさまざまなイオウ化合物に変化する。実は、このスルフィド類に優れた健康効果がある。MATS(メチルアリルトリスルフィド)もその一つ。「MATSは血小板の凝集を抑える働きがあり、血液をサラサラにさせるのです。すると血流が良くなり、血圧も下がります。また、血栓もできにくくなるため、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも下がります」(同)

 さらに、悪玉コレステロールや血糖を下げる働き、肝臓の解毒作用を促進して肝機能も向上させる働きを示す成分もある。血圧やコレステロール値、血糖値、肝機能などに問題を抱える中高年読者には、まさにうってつけといえよう。それだけではない。あの国民病にも効果があるというのだ。「近年の研究でスルフィド類に、がん細胞の増殖を抑制する働きがあることも判明しました」(同)

 その証拠に、アメリカ国立がん研究所は、ニンニクを、がん予防に有効な食品のトップに挙げている。その他にも、「がんやウイルスを攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞が活性化され、免疫力が上がることが分かっています。おかげで、ニンニクを食べる人は風邪にかかりにくく、治りも早いといわれるのです。また、男性ホルモンの分泌を活発にして下半身力を高めることや、抗酸化作用を増強することから老化予防につながると考えられています」(医療ジャーナリスト)

 これまでの話から分かるように、中高年ならば毎日でも食べるべき食材なのだが、いざ食べるとなると、料理の手間や臭いの問題があり、なかなか難しい。そこで、料理研究家のオガワチエコさんに、「包丁を握ったことがない中高年男性でも簡単にできるニンニク料理レシピ」を教えてもらった。

 まず、1つめが「レンジでチン」だ。「焼き肉屋さんのニンニクのアルミホイル焼きはホクホクしておいしいんですが、これがレンジでも簡単にできるんです。玉のままのニンニクをよく水洗いして、皮がついたまま切らずにレンジに入れるだけです。500Wのレンジなら1~2分ぐらい。ほのかなニンニク臭があるホクホクの味になります」

 2つめが、スーパーなどで売っている乾燥したスライスニンニクを使う「手間いらずニンニクオイル」だ。「フライパンにオリーブオイルを入れて、スライスニンニクを炒めます。ニンニクを焦がすと臭いが強くなるので、焦がさない程度に炒るのがコツです」

 オイルはほんのりと香ばしいニンニクの臭いがする。「これにポン酢を加えて、おひたしなどに使ってもいいですし、そうめんのつゆにちょっと垂らしてもおいしいですよ」 なお、ニンニクオイルはサラダのドレッシングや炒め物にも使えるとして、最近ブームになっている。

 本格的に作る場合は、生のニンニクをみじん切りにして、オリーブオイルたっぷりのフライパンに入れて弱火で加熱。ニンニクに少し泡が出たら火を止める。「刻んだニンニク表面のアリシンは放置すると、すぐに有用成分が揮発してしまいます。ニンニクを刻んだら、すぐにオリーブオイルやサラダ油に入れるのがコツです。ニンニクオイルには、がん予防に効果があるスルフィド類が多く含まれています」(前出の有賀教授)

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