■大相撲ブームの立役者・稀勢の里への思い

 では、相撲で“絶対に勝ちたい相手”稀勢の里を、どう考えているのか?「白鵬は現在の相撲ブームを喜んでいます。稀勢の里が19年ぶりの日本人横綱になり、4横綱の時代となったことを“心からずっと待ち望んでいた”と満面の笑みを浮かべて発言していたのが印象的でした。“一人横綱”として角界を支えた苦難の時代を思い、感無量だったんでしょうね」(前出のスポーツ紙記者)

 一方で、武田氏のインタビューに応えて白鵬は、「人々の関心が稀勢の里に集中する中で、私は冗談っぽく“白鵬も忘れてもらっちゃ、困るよ”などと言っていましたが、事実、“このままでは本当に白鵬という存在を忘れられてしまうのではないか……”、そんな危機感に駆られていたこともありますね」と不安を口にしたこともあった。

 とはいえ、そこは大横綱。自身が負傷で休場した春場所で、左肩にテーピングを巻いた状態で優勝した稀勢の里に、惜しみない賛辞を送っている。「あまりにも劇的な優勝に、私も驚くしかありませんでした。厳しい状況を打ち破って土俵上に立つ稀勢の里の堂々たる姿に、ただただ感服させられました。横綱の強さを見せつけた稀勢の里の活躍は、先輩横綱として頼もしく感じましたし、私も改めて“頑張らなければいけない”という気持ちが強くなりましたね」 その気持ちが先場所の偉業につながったのだろう。

■お母さんから“もう少しモンゴル語を勉強しなさい”

 2015年6月、拓殖大学で特別講義を行った際、「モンゴルに帰ると3~4日はモンゴル料理が懐かしくておいしいけど、5日目から白い米とみそ汁が飲みたくなる。優勝インタビューで両親や国に感謝の気持ちを伝えるが、次の日に、お母さんから電話で“もう少しモンゴル語を勉強しなさい”と言われる」と、止まらない“日本人化”を打ち明けた白鵬。史上最強の横綱は、今後、どこまで躍進し続けるのか。

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