古来から伝わる「藁人形の呪い」

 古来から伝わる生霊といえば、「藁人形の呪い」が有名だ。現代においても、呪いをかけられた藁人形は数多く発見されている。2017年1月23日には、群馬県のゲームセンターの駐車場に、女性経営者の名前を赤い塗料で書いた藁人形を置いて脅迫した疑いで、無職の男(51)が逮捕されている。ネット上で「藁人形セット」などが販売されているため、近年は増加傾向にあるともいわれるが、真相は定かでない。

●『丑の刻参り』とは

 丑の刻(午前1時から午前3時ごろ)に、憎い相手に見立てた藁人形を、神社の御神木に五寸釘で打ち込む、呪術の一種が『丑の刻参り』。前述した平家物語の「宇治の橋姫」がルーツとなっており、白装束の女性が頭に鉄輪を逆さにかぶって3本の脚にロウソクを立て、胸に鏡を吊るし、7日間釘を打つのが基本的な方法だ。また、その行為を他人に見られてしまうと効力がなくなる、と信じられている。

 その効果は不明だが、藁人形の呪いは、日本における「生霊」の定番と言えるだろう。

陰陽師が用いた、呪詛の祓い方

 「宇治の橋姫」で、鬼になった橋姫の腕を封印したのが、平安時代の陰陽師として知られる安倍晴明だ。書籍『呪い方、教えます。』(宮島鏡/作品社)によると、陰陽師には、自分にかけた呪いを解く方法が伝わっているという。

●形代の呪法

 現代でも子どもの災厄を紙や草木で作った人形に託し、川や海に流して祓い浄める「流しびな」という伝統行事が行われているが、そのルーツになっているのが、陰陽師の「形代の呪法」である。自分一人でも簡単に実践できる方法で、自分に害をもたらす人間から与えられた痛み、苦しみを捨て去ることができるという。以下に、そのやり方を紹介したい。

1)形代を作る

 男性は白紙(黃紙でも可)、女性は赤紙を用意。自分の身代わりであると堅く信じ、人形のかたちに切る。なお、紙は和紙に限る。

2)氏名、生年月日、年齢を書く

 必ず墨で書くことが重要。

3)形代をなでる

 左手、右手、左足、右足、頭、顔、胴の順になでる。これで自分についている災いを拭い取り、自分の分身である形代に移すことができる。丁寧に三度繰り返す。

4)形代に息をかける

 両手で捧げ、形代に息を吐きかける。体中に充満するように深く息を吸い、それをすべて吐き出す。これを三度行う。

5)形代を流す

「祓いたまえ、清めたまえ。急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)」と三度唱えながら、川か海に流す。これで清浄な心身に立ち戻ることができる。

まとめ

 どうしても生霊に取り憑かれた、という感覚が拭えないのであれば、「形代の呪法」を試してみるのもいいかもしれない。効果が出れば幸いだ。

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