■たばこも酒もまだまだ増税

 新税と継続に加え、増税の定番とも言える“取りやすいところから取る”も健在。たばこ税はその筆頭で、「紙巻きで1本当たり3円ほど増税される見込みです。さらに、現在は税率が抑えられている加熱式も、紙巻きにかなり近い率まで増税。

 たばこメーカーは、本体価格を下げて客離れに対応すると見られるので正確には分かりませんが、5年後には1箱の価格が500~600円まで上昇しそうです」(前出の政治部記者)

 また、酒税も今後、第3のビールやワインを中心に増税される予定だ。

■アベノミクスの失敗が原因の一つ

 これほどまでに増税が多く待ち構えているとなれば、安積氏が「年収300万円で、どうにかやりくり生活している庶民からも“取れるなら、どこからでも徴収する”というえげつなさ。こんなに増税されると、働く意欲をそがれますよね」と嘆くのもムリはない。どうして、ここまで安倍政権は増税に走るのか。その原因の一つとされるのが、アベノミクスの失敗だ。日本大学法学部教授(政治学)の岩井奉信氏が話す。「アベノミクスが、もう限界なんです。税金があるという前提で、かなりのバラマキ政策をしてきましたが、経済は停滞したままで税収が思うように上がっていないんです」

 安倍晋三首相とすれば、政策失敗を補うための“元手”が欲しいが、それがなく、その補填を庶民からかき集めるしかないという構図なのだ。

●“増税大臣”麻生太郎財務相が強硬派として…

 しかも、“増税大臣”とも言うべき存在の麻生太郎財務相が、消費増税においては強硬派として動き、「企業には400兆円の内部留保があるのですが、これにも税金をかけろと言っているんです。法人税と二重課税になるのでムリなんですが、いざとなったら、やるかもしれません」(前同)というほどなのだ。

 仮に、安倍政権ではないにしても、「ポスト安倍の筆頭候補の岸田文雄・自民党政調会長も、増税推進派。特に消費税の引き上げは“不可欠”と断言しています。また、国民の期待の高い小泉進次郎氏にしても、税金の集め方には声を大にして“物言い”をしますが、減税とは言ってくれません。今後の増税は避けることのできない既定路線なのです」(前出の経済誌記者)

■“新たな税金”にスマホやペットも!

 実は、先に挙げた税金以外にも、“新たな税金”の創出がささやかれている。前出の岩井氏は、「『電波税』は、その一つ。これはスマホを使う人全員が対象となるわけで、安倍政権が何事も強行突破でやるなら……」

 欧州でも盛んに議論されているだけに十分にありえるというのだ。また、前出の野党議員はこうも話す。「森林税が問題ないならば、昨今の豪雨からの防衛対策を目的とした河川税、北朝鮮の脅威に備えるための防衛税もありえるでしょう。また、ペット税はすでに導入を検討する自治体がありますし、あらゆるものへの課金が模索されています」

●介護保険サービスなど、支給の締めつけも

 そんな絶望的な状況を表すかのように、増税だけでなく支給の締めつけも実施される。来年8月から改正介護保険法が施行され、原則1割の介護保険サービスの自己負担割合が、3割になる人が出てくるという。

 さらに、要介護度が改善された事業者には国からインセンティブが支払われることとなり、「現在、要介護4認定の高齢者が3に変更されるなど、重度が意図的に下げられ、その分、介護が受けられなくなる人が出てくる可能性が指摘されているんです」(前同)

 他方、12月12日には厚労省が生活保護受給額を来年度から最大13.7%引き下げる報告書案をまとめた。「特に大都市部での引き下げが顕著で、東京23区で小学生と中学生の子どもが2人いる40代夫婦世帯で、引き下げ率最高となる月2万5000円の減額になります」(前出の社会部記者)

 高所得者も弱者も関係なく、すべて安倍政権の締めつけに苦しむ事態に陥っているのだ。「本来、税金の徴収には、誰からどうやって集めるかという、きめ細かさが必要なのですが……」(岩井氏)

 安倍政権に庶民はむしり取られるばかりだ――。

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