プロ野球・大物OBが巨人と阪神に「喝!」の画像
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 東西の人気球団として、長きにわたって球界に君臨してきた巨人と阪神。常勝が至上命題のはずの両球団だが、2017年シーズンは広島、DeNAなどの後塵を拝し、悲願の優勝はかなわず。はたして、この先の巻き返しはなるのか――。両チームの華やかなりし時代を支えたOBたちに、思うところをぶちまけてもらった。

「17年シーズン、巨人が4位に終わったのは、全員の責任だよ。それぞれの選手が、チームのために何をなすべきかを、その場その場で考えてない。皆が漫然とバットを振り、大事な場面で簡単にゲッツーを食らってチャンスを潰していた」 こう語るのは、巨人V9戦士の一人で巨人軍のご意見番である黒江透修氏。ただ来た球を打つだけの選手任せの野球は、やめたほうがいいと語気を強めた。

 そして、1980年代の“常勝・巨人”を支えた篠塚和典氏も、同じく、こう語ってくれた。「負けが込めば首脳陣が非難されますけど、結局は選手たちが、常に自分がするべきことを理解して、それを実践に移せるかどうかなんですよ。私たちの頃は、選手一人ひとりの役割を明確にした野球をしていましたね。(1番打者の)松本(匡史)さんと(2番の)私は、王さんには、状況によって何をしてもいいと言われていました。2人でサインを決めて好きにやれと。後ろには、(別の役割の)クロマティや原(辰徳)がいましたから……」

 それぞれの選手が技術を磨き、状況に応じてプレーできれば、監督も作戦を立てやすいが、反対に、選手の特性が見えてこないと、戦術やチームカラーも打ち出しづらいのだ。

■大物選手のFAや外国人に頼り…

 巨人の野球がそうなってしまった背景には、やはり、大物選手のFA移籍や外国人に頼りきってきたことがあるのかもしれない。前出の黒江氏が言う。「もっと若手の育成に力を入れるべきじゃないかな。FA選手なんて、ピークを過ぎた選手ばかりなんだから、使えても2~3年。力が落ちたら、また次のFAを獲ってくるなんてことを繰り返していたら、若手が育たないのは当たり前」

 今回、村田修一を自由契約にする口実として使われたのが「若手の育成」という言葉だったが、「たとえば、村田を外して、マギーを三塁に戻したり、(新加入の)ゲレーロを三塁にすえたりしては何の意味もない。本当に若手を育てるなら、多少打てなくても岡本(和真)を使い続けてほしい。そうすれば、選手にも自覚が生まれるし、ファンにも分かりやすいチームになるはず」(篠塚氏)

■高橋由伸監督への注文

 さらに、高橋由伸監督をはじめとしたコーチ陣に、注文がないわけではない。「よく周りの人に指摘されるのは、由伸監督の顔が暗いということ。そりゃあ、負けが込めば明るい顔もできないだろうけど、ああまで暗くては、選手もやる気をなくしてしまう。もっと明るい顔をしてほしいものですよ」(黒江氏)

 監督が明るければ、チームの雰囲気も変わってくるはず。また、篠塚氏も、「監督に注文したいのは、キャンプの頃から“チームを、こうしていくんだ”という方針をハッキリと示してほしいということ。そして、それに基づいてコーチ陣が選手を導いてほしい」

 そうすれば、選手も自ずと、自分のするべきことを理解するはずだという。「たとえば、とにかく出塁する、あるいは走者を進塁させたりしなければいけないという役割が与えられれば、今までみたいに、打ちやすい球を遠くへ飛ばすのではなく、打ちづらい球を、どの角度でバットに当てればいいかという練習にシフトするでしょう。目的が見えれば、選手もやりやすくなる」(前同)

 選手が個性を出さずにいるから監督が方針を打ち出しづらい一方で、監督・コーチ陣の方針が見えないから選手もなすべきことを見いだせずにいる。今の巨人はそんな“負のスパイラル”に陥っているという。生え抜きの若手が伸びてこないことには、チームの底上げは不可能。その改革を、18年シーズンから吉村禎章、二岡智宏の両氏を新たに迎え入れた“新・由伸内閣”に期待したい。「周囲が思うほど、雰囲気は悪くないですよ。皆、仲がいいし。今は巨人にとって、選手の入れ替わりの過渡期。この2~3年で若手が力をつけていけば、数年後には“強い巨人”が戻ってくるはずです」(同)

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