全国「ご当地激ウマ鍋」グルメガイドの画像
全国「ご当地激ウマ鍋」グルメガイドの画像

 新鮮な肉、魚、野菜。極上のだし出汁。〆は麺か、雑炊か――。「冬の風物詩」を総力取材。胃袋から全身あったまろう!

 馬がウマい! 本誌連載中の『東北めし!』でも描かれた青森のソウルフード――桜鍋。「作者の土山しげる先生と青森県八戸市、そして五戸町に取材へ行きました。八戸では南部せんべいを入れたせんべい汁、五戸では味噌仕立ての桜鍋が“地元めし”だと聞き、食べてみました。初めてでしたが、どちらも驚くほどウマかった」(担当編集者)

 香り豊かな出汁で、グツグツ煮込んだ食材をズズズッ……ここは天国か?「北海道は石狩鍋、秋田はきりたんぽ鍋、福岡はもつ鍋など、その地ならではの有名な鍋は数多くありますが、あまり知られてない、おいしい鍋料理が各地にたくさん埋もれているんですよ」(食品コンサルタント)

 日本は多様な“鍋文化”の宝庫。知られざる「ご当地激ウマ鍋」を、一挙に紹介しよう!

■魚介類の鍋は絶品

 まず、極寒の地・北海道。鮭の身や野菜を、味噌でコトコトやる石狩鍋が前述のように知名度が高いが、「鍋といえば浜鍋です」と断言するのは、小樽市出身で札幌市在住の会社員。“浜鍋”は、新鮮な魚介類、海藻などを醤油や味噌で味つけする豪快な漁師料理。漫画『美味しんぼ』(4巻)でも登場した逸品だ。

「いや、カジカ鍋が大本命でしょう」と反駁するのは、地元紙記者。カジカはあっさりした白身魚。肝が濃厚で、鍋にすると、旨味がジワ~ッと溶け出すのだ。「要は、アンコウみたいなもの。それでいて、値段も手頃。地元の人は自分で釣っても、よく食べます。カジカ鍋がウマ過ぎて、鍋を囲めば皆、取り合いをするため、“鍋壊し”とも呼ばれています」(前同)

 さて、汁をズズッと、いただきます……深い味わいを噛み締めていると、「アンコウ鍋といえば、茨城。その北の福島でもどぶ汁という名前で、アンコウの鍋が愛されています」と解説するのは、町おこしNPOのスタッフ。「岩手、宮城はドンコ鍋です。ドンコは、カジカやアンコウと似た白身魚で、肝の脂が上質なのも共通点。当然、鍋にするときは肝も一緒に入れます」(前同)

 値段もアンコウに比べ、圧倒的に安い。家庭でも愛されるが、それゆえだろう。「子どもの頃、家でドンコ汁ばかり出されるので、嫌いになってしまいました」(気仙沼市出身の会社員)との悲しい声もあるが……確かに“大人の味”だ。

 カジカ、アンコウ、ドンコ……これら“海のフォアグラ”とも形容される濃厚な“肝”を鍋にする風習は、海に面した土地では根強い。「富山では、ゲンゲ鍋です。ゲンゲ元々は“下魚”と書いた雑ゲンゲ魚ですが、味も良く“幻魚”と漢字も変えられました」(富山市在住の主婦)

 このゲンゲは深海魚。アンコウに似て肝も“海のフォアグラ”で、鍋にうってつけだ。しかも、身の食感は、フワフワときている。「鳥取でも、ゲンゲ鍋は好まれています。呼び方だけ違って、地元の人は“ババチャン鍋”と言ってますね」(アンテナショップ職員)

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