■コーチ陣にも問題が…

 由伸監督を支える参謀陣にも疑問の声が上がる。ソフトバンクはV逸した16年シーズンから10人以上のコーチを入れ替え、17年に日本一になった。しかし、11年ぶりのBクラスという屈辱にまみれた巨人のコーチ陣は、ほとんどが残留という結果。「まず、昨季の体たらくで村田真一ヘッドコーチの残留はおかしいでしょう。選手に強く言えるのが村田ヘッドだけ、という事情もあるそうですが……。結局、惨敗の責任を誰も取っていないんです」(民放スポーツ担当記者)

 18年シーズンは、吉村禎章打撃総合コーチ、二岡智宏打撃コーチが新たに一軍コーチとして加わったものの、由伸監督を支える存在がいないのは変わらない。このように、(3)今季の一軍首脳陣は機能不全に陥っている。「一軍と二軍のスタッフを丸々入れ替えればいい。そうすれば絶対勝つよ」とささやくのは、取材歴20年のベテラン記者だ。確かに、二軍コーチの小谷正勝、内田順三、田代富雄らは平均年齢68歳の超ベテランだが、誰もが認める名伯楽。

 さらに、川相昌弘二軍監督についても、「原辰徳監督時代にあれだけ勝てたのは、当時ヘッドコーチだった川相のおかげだよ。彼は中日時代に落合監督にも指導されているし、実は、ナベツネさんからも“本当に有能な男だ”とのお墨付きをもらっているほど。本来なら、川相をヘッドにするべき」(前同)

 昨年の契約更改では、田原誠次がリリーフ陣の希望として“準備を早めに伝えてほしい”とフロントに要望した。これは「ベンチとブルペンの意思の疎通が欠けていた」ことを如実に表している。「17年7月、尾花高夫一軍投手コーチが降格し、斎藤雅樹二軍監督が一軍投手コーチに配置転換。ブルペン担当になった尾花コーチは結局、今季はコーチ陣から外れました。首脳陣は投手陣からの不信感を拭えるか、まず、そこからでしょうね」(前出の民放記者)

■ドラフトでも見る目がなく…

 指導者側に問題はあれど、実際にプレーするのは選手。しかし巨人の場合、その(4)戦力向上も絶望的だという。なぜか……内部事情に詳しい関係者が語る。「巨人は結局、読売新聞グループなんです。外国人補強を担当する国際部でも、担当者がわずか数年で異動になる。親会社の人事異動に関連してのことですが、それで海外とまともなパイプが作れるわけがない。海外の交渉相手が“ヨミウリにはカネはある。ハズレ選手をつかませても、また新しいのを、って言ってくるからオイシイヨ”って、バカにしてるんですから」

 国内の選手獲得を担う編成部も同様で、昨年1月に就任した岡崎郁スカウト部長も、それまでスカウト経験はない。「だから、現場と上との意思疎通がうまくいってない。ソフトバンクや広島と一番差があるのは、間違いなくスカウト。巨人のスカウトは地方大会は見るけど、学校の普段の練習を見に行かないらしいですから。ドラフト直前の挨拶に高校を訪れた担当者が“あの子、なかなかいいバッティングしてますね”と指さしたのが、翌ドラフトの特A候補の2年生で、監督が“巨人には、そんな情報も入ってないのか”とあきれていた、なんて話もあります」(前出の関係者)

 “見る目のなさ”が如実に表れたのが、15年ドラフトでの茂木栄五郎と重信慎之介の例だ。同じ早稲田大学の同期で、ともに左打者。しかし現在、その差はあまりに大きい。重信はドラフト2位で巨人に指名されたものの、出場機会に恵まれず、プロ2年目で、すでに代走要員。

 一方の茂木は楽天に3位で指名され、1年目からショートのレギュラーで出場。2年目の17年、リードオフマンとして大活躍したのは周知の通りだ。「ドラフトのあと、なんで巨人は茂木じゃなくて重信だったんだ? って、アマチュアの連中はみんな笑ってました。あのとき、茂木を獲ってれば……。ショートには坂本がいたから茂木は獲らなかった、という理屈でしょうが、それなら二塁にすればよかったんです。実際、今、空いてますよね」(前同)

 たらればを言っても仕方がないが、編成部のズレぶりが矯正されない限り、巨人軍に未来はない。

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