■韓国は自国の保全を図った

 五輪は北朝鮮のペースとなり、自国開催ながら韓国旗も揚げられず、しまいには国内のニュースや興味もすべて北に持っていかれる――これでは北朝鮮が平昌五輪を乗っ取ったも同然。ここまで韓国が譲歩しているのは、五輪成功に加え、「融和ムードが続けば、韓国側から手を出さなければ、韓国は北朝鮮の核攻撃の標的から外れる確証を得た」(外交筋)ためだという。昨年、トランプ大統領がアジアを歴訪した際、日米韓3か国で北朝鮮の核開発に歯止めをかけることを申し合わせたにもかかわらず、「韓国はこれ幸いと“一人抜け”し、自国の保全を図った」(前同)というのだ。さすが、慰安婦問題で合意しておきながら、その内容について再検証しようとする国だけのことはある。

■“外交の勝利”だと喧伝

 一方、北朝鮮の狙いは、「まず、平昌五輪を実質的に韓国との共催にして五輪を朝鮮民族の平和の祭典と位置づけ、これを金正恩氏の政治的・外交的手腕として内外に喧伝すること。そして、米韓軍事演習を延期させ、“五輪休戦”を実現させたことに加え、これまた“外交の勝利”だと喧伝することにあります」(前出の井野氏)

 しかも、選手団らの宿泊費や交通費は、韓国側が負担することになっているので、それだけの成果を得るのにかかるコストはゼロ。それどころか、“お土産”まで持って帰る勢いだ。米国は「(世界的に経済制裁を科している)北朝鮮選手団に貸したホッケーのスティック1本持ち帰らせないように」と韓国に釘を刺しているが、「韓国政府は、美女軍団を手ぶらで帰国させませんよ。帰りも陸路で板門店を通過するわけですが、韓国当局は知らぬ顔で通すでしょうね。彼女たちのトランクには、円やドルがぎっしり……ということがあるかもしれません」(前出の辺氏)

 そのうえ、ソウルなどで行われる三池淵管弦楽団の公演は「有料での開催が決まっていますから、ここでも北に支払いをするでしょう」(前同)というから、開いた口が塞がらない。韓国にとっては、自国の魂も友好国との約束も、くそくらえというわけだ。

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