■大きなイベントやスポーツ基本法の恩恵

 さらに、竹村氏は「この世代が育った社会環境も大きい」と分析している。「子どもは、大きなスポーツイベントで活躍するスポーツ選手に憧れ、自分もやりたいと思うものです。94年世代は成長過程で、大きなスポーツイベントが多かったことも大きいですよ」

 確かに、生まれてから中学生になるまで夢膨らむ行事が多いのが分かる。66年ぶりに五輪フィギュアで2連覇を果たした羽生は、12歳のときにトリノ五輪を迎えた。「彼は優勝したプルシェンコ(ロシア)に憧れ、一時は髪型も同じマッシュルームカットにしたほどでした。また、このトリノ五輪では、同じスケートリンクで一緒に練習をした荒川静香が金メダルを獲っています。これも、彼の大きなモチベーションになったと思います」(前出のフリー記者)

 さらにもう一つ。94年生まれは2011年17歳のときに施行されたスポーツ基本法の恩恵を享受している世代なのだ。「この法律でスポーツ関連の予算が増え、海外遠征や外国人コーチの招聘などに費用をかけられるようになりました。羽生や高木は外国人コーチについて大きく伸びましたが、伸び盛りのときに振興予算が増額されたのは本当にラッキーだったと思います」(前出のスポーツジャーナリスト)

 また、JOCは世界トップのアスリートを養成するため、10年前に東京都北区のナショナルトレセン「エリートアカデミー」を設立。ここに将来有望な小学生を選抜して入学させている。「業界全体で、レベルアップと底上げ環境が整えられているんです」(前同)

 躍進著しい、94年世代。彼ら彼女らの努力はもちろんだが、ゆとり教育と親の適度な後押し、そしてスポーツ環境の改善と、日本全体で勝ち取った結果と言えそうだ。

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