■2時間、平謝りし続けて

 3月28日には、問題行動を繰り返した貴乃花親方に、説明を求める臨時年寄総会が開かれたが、「紛糾した会は3時間の長丁場に。解雇に相当する契約解除などの厳しい処分を求める声も上がったが、貴乃花親方が2時間、謝り続けたことで、厳罰処分は求めない方向へ。とはいえ、1月の理事解任からの降格続きで結局、一番下の平年寄まで下がってしまった。一方の貴公俊は、一場所の出場停止。程度の差こそあれ、同じ暴力事件で日馬富士が引退したことを考えれば、貴公俊の処分は甘いでしょう」(協会関係者)

 元日馬富士に対し、あれだけ厳しい態度で臨んだ貴乃花親方だけに「身内には甘い」という指摘もあるが、なりふりかまわず、愛弟子を守ったということか。今後は一門の阿武松審判部長の下、審判部、指導普及部で働きながら、一兵卒からの巻き返しを図ることになるが、改革への賛同者はいるのだろうか。「2016年暮れの貴乃花グループの忘年会では、親方たちの女装カレンダーがお土産として配られたが、そこには一門ではない時津風や出羽の海一門の親方衆の姿もあった。あの頃は門派を超えた改革派の集まりでしたが、一連の騒動以降、距離を置いているようです」(専門誌ライター)

 また、過去3年間、春場所前に行われてきた貴乃花一門激励会は、急遽、貴乃花部屋激励会に変更に。「一門の人々が参加しなかった。貴公俊事件の原因といわれる付け人不足も、一門から若い衆が貸し出されるのが普通ですが、新理事で一門を率いる形の阿武松親方は、貴乃花親方から要請がなかったとコメント。貴乃花部屋の力士は9人。関取衆は4人。十両以上の関取には、一人あたり付け人2人が必要です。要請がなくても不足は明らかですけどね」(部屋関係者)

■四面楚歌の大横綱だが

 また、貴乃花親方への嫉妬や羨望も少なくない。「若くして出世した貴乃花親方は商売も上手。四股を取り入れたシコアサイズなるエクササイズの教室を開いてますが、あれも相撲道かな?」(協会関係者)

 まさに、四面楚歌の大横綱。とはいえ、無投票で3選を果たした八角理事長が所信表明で挙げた暴力問題の根絶は、親方が独断で警察へ貴ノ岩の被害届を提出したからこそ、浮き彫りになった問題。この功績は忘れてはならない。「理事長は、2月中旬から力士全員、約600人への弁護士による聞き取り調査を始めています」(前同)

 もともと、貴乃花親方が八百長の温床との噂がある「モンゴル互助会」とのつきあいを貴ノ岩に禁じたことから始まった一連の騒動。「貴乃花親方は暴力根絶を手始めに、最後はモンゴル互助会の解体を目指していたんでしょう。弟子に足元をすくわれた親方ですが、この挫折を糧にできるか、注目です」(部屋関係者)

 弟子のため、地位と夢を犠牲にした貴乃花親方。その「不惜身命の精神」が、花開く日は来るのか。

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