■厳しい寮生活!カレーの日が幸せ

 学校内、グラウンド以上に理不尽なのが寮生活。「先輩がご飯を食べるときは、1年生が立って近くにいないといけないんです。食事の用意をして、最後に立つ素ぶりを見せたらスッと椅子を引いて、食器をすぐに片づけないといけない。持たせたらアウトです」(大阪の強豪K高校OB)「風呂に入るときは三助でした。要は、背中を流しましょうかと体を洗わなければいけなかった。Tシャツとパンツ姿で風呂場に待っていなければいけなかったので、冬場は本当にキツかったですよ」(宮下氏)

 落ち着けるのは寝る瞬間だけと思ったら、大間違い。「目覚ましを鳴らすのがNG。1時間前に起きて、ずっと正座して待っていないといけませんでした」(神奈川の名門H高校)

 ここまでしんどいと、些細なことが幸せになる。「寮での食事のときは、常に熱いお茶。これが嫌で嫌で。だけど、週に1日だけ、食事を作ってくれるオバチャンが休みで、その日だけは部員がカレーを作るんです。その週に一度のカレーの日だけ、水を飲むことが許されます。これが、うれしくてね。あと、朝ご飯は毎日、納豆、生卵、味噌汁と決まっていたんですが、カレーの残りを朝に食べるのが最高に幸せでした」(宮下氏)

 満たされた生活を送っていたら、こんな小さなことに喜びは生まれない。厳しい寮生活で得られることも、決して少なくなかったようだ。

■『北斗の拳』のザコキャラ役をやらされて

 続いては、意味が分からないあるある。「当時は『北斗の拳』がはやっていて、僕はよくザコキャラ役をやらされてました。すれ違いざまに先輩が秘孔を突いてくるので、そのたびに、あべしとか、たわばと言って倒れるわけです。口で言うだけだと怒られるので、真剣に演技していましたよ」(橋本氏)

 また、意味不明なエグい練習メニューもあった。「夏前の合宿で、鉄アレイと呼ばれる練習がありました。両脚に10キロの鉄アレイをくくりつけられ、20キロ走らされる。しかも、なぜかパンツ一枚。成績上位者から、衣服の着用が許され、重りの量も減らされる。成績下位だと、そのまま続行。これが毎日あって、脱走する奴もいましたよ」(大阪の伝統校I高校OB)

 失敗した際にある「理不尽な罰」もエグい。兵庫の報徳学園で甲子園優勝投手にもなった、野球評論家の金村義明氏はこう話す。「僕が嫌だったのは、剃りの刑ですね。たとえば先輩に挨拶しなかったら、頭をツルツルにしないといけない。もともと坊主頭だから、髪の毛がない。自分でやるんですけど、失敗して、風呂場が血だらけになっていましたよ」

 練習試合中に、「声が出ていない!」と怒った監督が課した罰とは。「グラウンドの照明に昇って、試合中、ずっと照明にしがみつきながら声を出せと言われました。トイレにもいけない、水も飲めないのが辛いけど、とにかく、恥ずかしかった。だけど、声を出さないと降ろしてもらえないんです」(千葉の名門A高校OB)

■下級生たちの反撃も怖い!

 聞けば聞くほど、ストレスが溜まるような話ばかりだが、下級生たちも黙っているだけではない。静岡の名門H高校OBは、その土地を生かした反撃を振り返る。「学校の外に焼きそば屋があったんですが、よく先輩にパシらされていたんですね。金をくれない嫌な先輩もいて、そういうときは、焼きそばにフケを入れていましたね。静岡の焼きそばは、イワシの削り節を入れていたから、それに見立てて(笑)」

 中には笑えない反撃も。「山奥で合宿をしていたときに、ムカデを嫌いな先輩のスパイクシューズに入れたことがあります。それを知らずにはいた先輩はムカデに刺されて、病院送りになってしまいました。思った以上の大事になってしまいましたが、虫がいっぱいいる山奥だったし、ただの事故として扱われ、ホッとしました(笑)」(甲子園出場もある福岡のK高校) 下級生を怒らせるのも怖い!

 耳を疑うような「理不尽あるある」だが、そうした経験を経て強靭なメンタルを身につけ、プロで活躍している選手も多いのだ。

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