佐野史郎
佐野史郎

 奄美編となり、これまでと違う雰囲気の西郷吉之助(鈴木亮平/35)が話題となっている、NHKの大河ドラマ西郷どん』。さまざまなメディアに取り上げられているが、今回はベテラン俳優に注目してみた。まずは5月27日の放送内容を振り返ろう。

 愛加那(二階堂ふみ/23)と結婚することになった吉之助は、奄美大島で生きていくことを決める。しかしその頃、薩摩藩の内部ではさまざまな動きが起こっていた。大久保正助(瑛太/35)は、藩の実権を握る島津斉興(鹿賀丈史/67)と近しくなり、その力を伸ばしていた。そして斉興が亡くなり、息子の久光(青木崇高/38)が国父として藩政を牛耳ることになると、正助は久光との関係も深めていく。これに対し、有馬新七(増田修一郎/37)たちからなる過激派は反発。しかし、正助のこれらの行動はすべて、「吉之助を島から呼び戻す」という想いからのものであった。一方、奄美大島で幸せに暮らしていた吉之助に、一通の手紙がもたらされる。それは井伊直弼(佐野史郎/63)が桜田門外の変で命を落とした、という文であった。

 男気があふれる正助も良かったが、この放送回は井伊直弼がスゴかった。SNS上には死を覚悟する凛とした姿を称賛するコメントが相次ぎ、「直虎の政次(高橋一生/37)を思い出した」なんて、前作『おんな城主直虎』の名シーンを引き合いに出す声もあったほどだ。

 大河の幕末ものに欠かせない井伊直弼は、毎回大物俳優が務める。近年では2008年『篤姫』で中村梅雀(62)、13年『八重の桜』の榎木孝明(62)、15年『花燃ゆ』では高橋秀樹(74)と豪華な面々だった。安政の大獄で幕府を批判する人間を粛清しまくった井伊直弼は、敵役になることが多い。当時の、幕府の実権を掌握していた大老なので、ラスボス感がある大物が起用されてきたのだ。

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