葵わかな
葵わかな

 豪華俳優陣の共演が話題の日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)。物語も中盤を迎え、ドラマの中に隠された奥深いストーリーが少しずつ明らかになってきた。ガチガチの医療ドラマだが、エンターテインメント性が高く、見るものを飽きさせない作りが魅力だ。

 5月28日の放送回を振り返り、今後の展開を考えてみよう。外科医の渡海(二宮和也/34)のもとを訪れた母、春江(倍賞美津子/71)は、花房(葵わかな/19)と木下(加藤綾子/33)の前で倒れ、緊急手術を受けることになった。手術後、摘出しきれなかった腫瘍のあることが分かると、渡海は医療過誤だと断罪し、病院に和解金を請求した。さらに再手術の執刀をすると手を挙げた佐伯教授(内野聖陽/49)にも反抗する。また、東城大学では国産の医療ロボット“カエサル”を導入することになり、高階(小泉孝太郎/39)が治験患者を探していた。高階は春江の病室を訪れ、説得された春江は、カエサルでの手術を受けることを許諾してしまう、という内容だった。

 東城大学の佐伯教授VS帝華大学の西崎教授(市川猿之助/42)の学会理事長争い、そしてこれに振り回される高階、最後にすべてを解決する渡海というお約束の展開だったが、最近の放送では、渡海の父と佐伯との過去の遺恨もクローズアップされ、物語が複雑化してきた。しかし、ゴールデンタイムのドラマとしてこれから期待したいのは、やはり“恋愛要素”だ。重厚な医療ミステリーにそんなものは不要、という声もあるかもしれないが、物語がダークな雰囲気になればなるほど爽やかな恋愛シーンが清涼剤となり、ドラマをより濃厚なものにしてくれるのだ。

 そんな意味で、5月28日の放送で注目したのは、葵わかなが演じる新米看護師の花房だ。実は海堂尊(57)の原作『ブラックペアン1988』には世良(竹内涼真/25)と花房の淡い恋愛シーンも描かれている。ドラマ版でもこの二人の関係が、これからますます面白くなっていくはずだ。それにしてもこのタイミングで当代きっての売れっ子俳優、竹内涼真の相手役に葵わかなが抜擢されたという事実は、ことのほか大きい。

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