■野球少年の頃から変わらないキャラクター
こうした岡本のキャラクターは野球少年の頃から変わらない。岡本が中学時代に所属していた「橿原磯城リトルシニア」の酒井孝次事務局長が、こう証言する。
「岡本は性格的に丸くて温厚で、みんなから好かれていました。けっこう“いじられキャラ”なんですよ。だからといってお調子者ではなくて、実力的には一目置かれる存在でしたね」
少年時代から岡本の打力は抜きん出ており、球を遠くに飛ばす技術は相当なものだったという。「特に右方向への打球の伸びは素晴らしかった。うちのチームは“木の野球”を教えています。どうしても金属バットでは、本当の打力が身につかない。木のバットの打ち方を身につけるうちに、長打力をつけていったのだと思います」(前同)
実は、この逸話を裏づけるかのようなコメントを残していた人物がいる。それが前出の王貞治氏だ。王氏は岡本の活躍について聞かれた際、このように話したという。
「(岡本は)待望の和製大砲への道を、一歩一歩進んでいると見ています。日本人のホームランバッターが減ったのは、少年野球の頃から目先のヒットばかりを求めて育成する傾向があるから。だからこそ、彼には大きく育ってほしい」
王氏の目には、幼少期から育まれてきた、彼の長距離砲としての才能が見えていたのだろう。
前出の須藤氏が「私の持論では、高卒の選手は5年で出てこないとダメ」と語るように、現在、日本屈指のスラッガーに成長した高卒野手の多くは、入団4年目までにブレイクを果たしている。岡本も、今年がちょうど4年目。ジャイアンツの若き四番、そしてONが認めた才能が日本の主砲になる日も、そう遠くないかもしれない。