■最初の週から名シーンてんこ盛り
次は今作が、ヒロインの子ども時代を描かなかったということ。これはNHK大阪放送の朝ドラとしては『マッサン』以来、実に4年ぶりのチャレンジとなる。子ども時代を描くことでヒロインの人生そのものを見せる、という朝ドラ特有の演出をあえてしないことで、1週目から安藤サクラ=福子ということを視聴者に印象づけることに成功した。
最後は、朝ドラ的な見せ場を、あえて“ムダ遣い”したこと。先週の放送では、咲の結婚式の場面が感動的に描かれていた。朝ドラで必ずと言っていいほど描かれる結婚式の場面だが、これまでは物語の中盤や後半で物語のクライマックスで描かれることが多かった。それをまさか第1週に入れるとは、ちょっとびっくりだ。そして、萬平が愛の告白をするなど、第1週なのに早くも名場面を連発している。この名シーンのムダ遣いっぷりが、『まんぷく』のスタードダッシュにつながっているのではないだろうか。
「朝ドラに革命を起こしたんじゃないかと思いました」と前作『半分、青い。』の脚本家、北川悦吏子氏(56)はインタビューで語っていた。しかし『まんぷく』はそれ以上に革命的な作品になるかもしれない。朝ドラらしいほんわかした場面が多く安心できるのも魅力だが、意外性が高い演出、展開も今後は楽しみにしたい。とにかく、すてきな半年間の幕開けを予感させる、素晴らしい第1週の放送だった。(朝ドラ批評家・半澤則吉)
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