■皆さんに小手伸也という人間を知ってもらった

 今、バラエティを作っている人たちは、僕がかかわっていた頃以上に思うところがあると思うんですよ。動画配信のほうが面白いとか、若い人はテレビそのものを観なくなってるとか。

 でも一方で、テレビの力を信じて、テレビの前で気楽に笑ってもらうために駆けずり回っている人たちがいるってことを、このドラマを通してお見せしたいという気持ちもあるんですけど、逆にそんなことは一切気にさせないのが「バラエティ制作」の美学かなとも思いますし、難しいところですね。

 と、少々堅苦しいことを言ってしまいましたが、ドラマそのものはドタバタコメディです(笑)。しかし笑いながら観ているうちに、心に響くものがきちんとある。

 例えていうなら、レストランで見たこともないエスニック料理を出され、恐る恐る口に運んだら意外とおいしかった! というような……我ながらいい例えだな(笑)……そんなドラマになっておりますので、エキセントリックな外見で食わず嫌いせず、観ていただけたらうれしいです。

 どうやら僕はエキセントリックなものに惹かれるようで、日本神話にはまったのも、神話が持つエキセントリックな一面のように思います。

 僕は劇団を主宰していて脚本も書くわけですが、「日本人として物語を書くのなら、日本神話を知っておいたほうがいいだろう」くらいの気持ちで手に取ったんですけど、古事記なんて、ありえない設定だらけだし、それこそ読み手に対するむちゃぶりの連続(笑)。

 女神イザナミは日本列島を「出産」したんですが、最後に産んだのが「火の神」で、そのせいで大やけどして死ぬんです。いや、スケールのデカい話と思ったら急に死因がリアル! みたいな。もう無理に呑み込まず、ツッコミ入れていいと思うんですよ(笑)。

 そうしてハードルが下がることで、興味が持てたり偏見が取り除かれたりもする。その助力ができたらと、イベントや動画制作、時には講演もさせていただいたりしています。まあ、知識はひとつでも多いほうが世界が面白く見えるのは間違いないと思いますから。初詣で行った神社で「ああ、ここはあの神様のところなんだ!」って思うだけでもね。

 おかげさまで平成最後の1年は役者としてこれまでにない忙しさになりました。皆さんに小手伸也という人間を知ってもらったのだから、これからもさまざまなむちゃぶりに応えていきたいと思っています!

小手伸也(こて・しんや)
1973年12月25日生まれ。神奈川県出身。劇団innerchildの主宰として脚本、演出、出演をこなす。日本神話、特に古事記に造詣が深い。俳優として数多くの舞台、映画、ドラマに出演し、『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)五十嵐役や『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)蟹江貢役を怪演し注目を集める。5月17日から映画『コンフィデンスマンJP』の公開が控えている。

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