■3月からの映画化にも期待がかかる『九月の恋と出会うまで』

 高橋一生川口春奈のW主演の映画化で話題の『九月の恋と出会うまで』(松尾由美/双葉文庫)は未来から誰かの声が届くというタイムリープの物語だ。北村志織は自分の部屋で、壁の穴から聞こえる男の声と会話をする。1年後から話しかけているというその声は、隣人の平野という男を尾行してほしいという奇妙な依頼をするが、ひょんなことから平野と会話した志織は、“声の主”に疑問を感じ始める――。

 志織と平野と未来の声の3人をめぐる切ない恋愛物語でありながら、時間の謎をめぐるミステリとしても秀逸。謎が解けた後には、過去でも未来でもなく、隣にいる誰かと過ごす今こそがもっとも美しいということに気付く。小説ではない私たちが生きる世界では、時間は戻すこともできないし、飛び越えることもできない。でも、未来を変えることができるとしたら、その方法はただひとつ。未来を変えたいと強く思うこと――時間を飛び越える物語が、時間を飛び越えられない私たちにそう教えてくれた。

 恋愛や、大切な人に関わる出来事に関しては、ことさら「もしもあのとき」と思う気持ちが深いからこそ、たくさんの人が時空を超えた恋愛物語を読まずにはいられない。そして、時空を超えた物語の世界は、現実だけでなく、過去や未来という時間軸、そして今ある世界から分岐したパラレルワールドにまで広がる。想像もつかないほど果てしなく広い世界を描くからこそ、そんな場所で人と人が出会い、惹かれ合うことの価値が、ひときわ輝くのだ。

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