80年代アイドル美女黄金白書

第17回・後藤久美子

 後藤久美子(44)は、80年代アイドルシーンにおける特異な存在ともいえる。

 1986年、NHKの『テレビの国のアリス』のヒロイン役で女優デビューすると、同年に『続・たけしくん、ハイ!』、翌年の『独眼竜政宗』というNHKの高視聴率ドラマに立て続けに出演。中学生とは思えない完成されたその美形ぶりは、話題を集めた。

 その知名度はたちまち全国区に。CMでも引っ張りだことなり、メディアは彼女を“国民的美少女”と喧伝した。

 当時のアイドル界は、おニャン子クラブに代表されるように、“どこにでもいるフツーの女の子”が持て囃されていた。それだけに、“フツーではない美少女”のゴクミは際立ち、別格的な存在として認知された。

 そんな彼女だが、当時のアイドルが歩む自然な流れとして、87年3月にレコードデビューも果たしている。

 そのデビュー曲『teardrop』はオリコン3位を記録した。だが、歌唱力に自信がなかったのか、本人は歌手活動に消極的で、テレビの歌番組に出演もナシ。同じ年に、酒井法子(48)、畠田理恵(48)、森高千里(49)、石田ひかり(46)、小沢なつき(46)、工藤静香(48/ソロデビュー)といった、“人生いろいろ感”のある面々がデビューしているが、彼女が同期のアイドルたちと同じステージに立つことはなかった。結局、その歌手活動はシングル2枚、アルバム1枚を出しただけで終わっている。

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