もともと70年代に突入する前後から、モータリゼーションに伴い、全国にファミレスが増え出した。それまで地方都市などでは、駅前の大型食堂やデパートの最上階のレストランなどが持っていた役割を、それらが徐々に奪っていった。初期にはファミレスにもどこか高級感が漂っていて、物珍しさから、まさにファミリー層が飛びついたのだ。だからこそ、バブル崩壊の煽りを露骨に受けた。

 それを象徴するのが、年の現業態でのガスト出店だろう。以降、すかいらーくブランドから一気に移行を図り、いまや社名としてしか「すかいらーく」は残っていない。

 また、マクドナルドやKFC、ミスタードーナツなど外資系を中心に、代表的なファストフードもその頃には出揃った。これらに対抗するように牛丼の吉野家がチェーン展開を始め、松屋やなか卯、すき家らが続々と誕生。

 牛丼に較べれば、好みがはっきり分かれるそばやうどんは全国的なチェーン展開には不向きと思われたが、昨年には1000店を超えた、丸亀製麺の1号店オープンは2000年と、例外的な急成長ぶりを見せる。

 チェーン居酒屋の台頭もやはり70年前後に始まった。居酒屋では当時、もっとも勢いがあったのがつぼ八で、そのフランチャイズからスタートしたのがモンテローザ(75年に創業、83年に白木屋出店)、ワタミ(84年に創業、92年に和民開店)の両グループだったのは皮肉。より安さを追求したそれら後発組が、先行のチェーンを凌駕したが、鳥貴族や串カツ田中など専門型店の台頭で、いまではこうした総合型居酒屋は苦戦を強いられている。

 そして、ファミレス分野でこの“選択と集中”により、大成功を収めたのがサイゼリヤだった。結果的にイタメシの大衆化に貢献し、まさに平成年間の激変を象徴するような存在となった。

※この記事は雑誌「EX大衆」2019年2月号を元に構成しています。

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