■長嶋茂雄との思い出

――篠塚氏といえば、もともと長嶋氏にその素質を認められた存在だ。恩師でもある長嶋氏への思いは熱い。

篠塚  僕が入団したときの監督がミスターだったけど、同じ監督でもミスターの言葉となると、やっぱり大きな励みになった。地獄と言われた1979年秋の伊東キャンプが始まる前かな。ミスターは、“ここにいるメンバーで未来の巨人を引っ張っていくんだ”って、選手に声をかけたんだ。そんなことをミスターに言われたら、誰だって張り切るよね(笑)。その頃のミスターは、まだ若手の僕からすれば、近寄りがたいところもあった。でも、自らバッティング投手をやったり、守備練習で実践しながら教えてくれたりして、自分から選手とコミュニケーションを取ろうとしていたよ。

 そうやって一緒にチームを強くしようとしていたからこそ、80年にミスターが監督を辞めるときは、僕なんて気分がどん底だった。ミスターからすれば、自分が目をかけた選手が育ってきて、“来年こそ”って気持ちが強かったはず。そんな状況での監督辞任だから悔しかったと思うよ。それなのにミスターのほうから、こう、みんなを励ましてくれたんだ。「あの伊東キャンプは絶対にプラスになっている。それを生かすも殺すも、おまえたち次第だ。監督が替わっても、しっかりやれ」

  だから、ミスターが2度目の監督になったときには、周囲も“今度こそミスターを日本一に”って気持ちが強かったんだよね。ただ、このときは、ミスター自身がおとなしかったな。昔を知っている僕なんて、あっけに取られちゃったくらい(笑)。だから、僕が引退する2年ぐらい前かな。“選手はミスターとのやりとりを楽しみにしているから、もっと選手と接してください”って、ミスターにお願いしたんだよ。そうしたら「そんなの、簡単だよ」って、翌年は選手に声をかけてくれるようになった。そのへんは、すごく素直(笑)。

 ミスターは見ているだけで楽しい方。周囲にいる、こっちの気分が明るくなる。練習のときなんて、“どこにいるのかな?”って、いつも探していたもの(笑)。ミスターは人をひきつける何かを絶対に持っているよね。昨年は病気をして心配したけど、ミスターにはいつまでも元気であってほしい。周りも元気にしてくれる人だからね。

――最後に、篠塚氏に今年の巨人の順位を聞いてみた。

篠塚  巨人と広島の首位争いになるだろうね。巨人は圧倒的な戦力があるし、広島は、丸が抜けたとはいえ、チームの完成度が高い。僕は、直接対決で、どちらのチームが相手を食えるかがポイントになってくると思う。そういう視点で見ると、巨人は広島との相性が悪いんだよね。ただ、チームが優勝できるだけのポテンシャルは十分にあるから、今年の巨人は期待大だよ。というか、優勝してもらわないと困る。OBとして肩身が狭くなるからね(笑)。

【篠塚和典(しのづかかずのり)プロフィール】1957年、千葉県生まれ。75年ドラフト1位で巨人入団し、首位打者に二度輝くなど中心選手として活躍。94年の現役引退後はコーチも務めた。

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