■勝ち組だの負け組だのって
泉谷 そうなんだよ。勝ち組だの負け組だのって。今の安倍首相になってから、そんなのばっかり。
井筒 そう。その勝ち組、負け組って風潮そのものが僕は許せない。あの辞任した、桜田っていう大臣は“復興よりも議員が大事”なんて言って。腹の中じゃ、被災地のことなんか、なんにも考えてないのが丸分かり。ひどい人だ。ただの政治屋です!
泉谷 その通り! オリンピックだって、安倍首相だの都知事が“復興五輪”なんて心にもないお題目を掲げて、選手にも無駄に国を背負わせてプレッシャーかけてさ。勝っても負けても良いじゃねえかっての。
井筒 前の東京オリンピックのマラソンで3位になった円谷選手が、その後自殺しちゃった。あれも国を背負わせて次は“勝て勝て”ってやったせいでしょ。今、また同じこととしようとしてる。そんなプレッシャーかけてどないやねんって。
泉谷 アテネのオリンピック時もさ、長嶋(茂雄)さんを野球の監督にしたら、大会前に倒れちゃったじゃない。あれも、マスコミだのなんだのが国を背負わせ過ぎちゃったからだと思うんだよ。負けたら終わり、みたいにな。
井筒 皆、犠牲だもんな。
泉谷 負けてもやり直せなきゃ。ほら、ピエール瀧みたいに捕まったら袋叩きにするみたいな。
井筒 僕もダメ人間好きやから、彼が完全にクスリを断って復帰したら、僕の不良群像映画に警官役なんかウェルカムです。
泉谷 いいねえ。俺もライブとかに呼びたいよ。
井筒 とにかく、アメリカ流の勝ち負けにこだわる生き方は、本来、日本人には向いてないと思います。
泉谷 今の日本全体が“欧米かっ!”て突っ込み入れたくなるような生活だもんな( 笑 )。
井筒 アメリカ的な肉食生活になって、大腸がんも増えたっていうしね。
泉谷 食生活でいえば、まあイチロー選手があんだけ長くやれたのは、うまいもんをたくさん食って、しっかりトレーニングしてって面はあると思うけどさ。
井筒 昔は、スポーツ選手は30歳過ぎたら引退してましたからね。
泉谷 まあ、イチロー選手はうまいもん食い過ぎかもしれないから、がんには気をつけてって感じかな。
井筒 健康は何より大事なんでね。あとで、70歳になっても全国ツアーをバリバリやっているしげるさんの健康法についても聞いとこうかな。
――続きは次回に!
いずみや・しげる 1948年、青森県に生まれ東京で育つ。71年にデビュー。72年『春夏秋冬』が大ヒット。79年に初主演したドラマ『戦後最大の誘拐・吉展ちゃん事件』で芸術祭優秀賞を受賞。以後、俳優としても高く評価されている。
いづつ・かずゆき 1952年、奈良県生まれ。75年にピンク映画の監督としてデビュー。1981年『ガキ帝国』で日本映画監督協会新人奨励賞を皮切りに多数の映画賞受賞。日本映画界屈指の名監督。テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍。