内村光良(ウッチャンナンチャン)
内村光良(ウッチャンナンチャン)

 東京編に入り、視聴率がやや下降気味の連続テレビ小説なつぞら』(NHK)。だが、ヒロインのなつ(広瀬すず/20)が、アニメーション制作の現場で四苦八苦した6月3日からの放送は、実に軽快でテンポが良かった。そんな中で、ぜひドラマファンに注目してほしいポイントがあったのだが、それを紹介する前にまずは6月8日の放送を振り返ってみよう。

 なつはアニメーターの試験を受けるも落選してしまう。その頃、十勝では天陽(吉沢亮/25)たちが、砂良(北乃きい/28)のもとを訪れていた。照男(清原翔/26)が砂良にプロポーズするための寸劇が行われ、ついに照男の想いが通じる。その後、なつは天陽に手紙を書き、照男の結婚を祝いながらも北海道に帰る意思がないことを伝える。最後は「なつよ、力をつけよ」というナレーションで締めくくられた。

 この週は、仕事を通してなつが少しずつ大人になり、幼なじみの天陽との距離が少しずつ開いていく、という今後の展開を考えるうえでも重要な週だった。だが、それ以上に注目したいのは、内村光良(54)のナレーションだ。毎日「なつよ……」で始まる締めの言葉を語っているが、これに遊びが加わってきたのだ。

 なつが先輩社員にいびられると「なつよ、それは初めて味わう、なんというか会社の人間関係」とつぶやいてみたり、なつの口にケチャップがついていると「なつよ、まず口を拭け」と語りかけたりと、やりたい放題。北海道編ではシリアスなシーンも多かったから、内村光良の語りもまじめだったのだが、最近はかなり軽妙になっている。ツイッターでも「ウッチャンのナレーションが毎回楽しい!」「ウッチャンのナレーション癒されるなぁ」と内村のナレーションを褒める言葉が、多数寄せられていた。

 一方で、この7日の放送のように、なつにエールを送る優しい言葉もあったりと、押し引きも実に巧み。本業のタレント業、司会業で見せる安定感が、ナレーションという別業態でも、見事に発揮されている。ここにコメディアンらしい遊び心が加われば、さらに内村のナレーションは注目されるはずだ。

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