■「相続」と「贈与」の基礎知識

●預貯金

「相続で節税効果を狙うなら、預貯金を不動産やモノ(自動車など)に換えておくのも、相続対策の選択肢の一つ」(税理士の中島典子氏=本文参照)

 預貯金の場合、税制面での優遇が受けられず、自分名義の預貯金は丸ごと相続税の対象となるからだ。とはいえ、預貯金がなければ生活できない。それでは、どうすればいいのか。

 まず、贈与税の基礎控除額が110万円であることを、うまく活用する方法がある。毎年、子どもに110万円までの金額を生前贈与しても、他に贈与がなければ贈与税は一切かからない。それならばと、子ども名義の口座を作り、そこに毎年110万円未満の金額で預金しておくのだ。10年間で1100万円を非課税で贈与できる。

 しかし、税務署もさるもの。万全の相続対策をやっているつもりでも、死後、遺族が税務署から「それは名義預金でしょ。よって、相続税を払ってもらいます」という連絡を受け、草葉の陰で泣くことになりかねない。名義預金というのは、形式的に家族名義にしているものの、金の出どころは別というもの。

 税務署から名義預金と言われないためには、(1)子どもとの間で贈与契約書を交わし、いつでも書面で、その事実を証明できるようにしておくこと、(2)毎年、贈与する時期や金額を微妙に変えておくこと、(3)自分(相続人)が通帳を管理していると名義預金だと言われる可能性があること――に留意すべきだ。

 この他、子どもや孫に一括贈与しても、教育資金としてなら1500万円まで、子どもや孫に結婚・子育て資金を贈与した場合、1000万円(結婚費用は300万円)までなら、贈与税はかからない(契約終了時に使い切らなかった分は課税)

●不動産

 土地建物の相続税額を決めるのは主に路線価。公示価格の8割程度が相場だから、預貯金を不動産に換えておくだけで、まずは2割の減税効果が見込める。そこに「小規模宅地等の特例措置」を活用すれば、無敵。この制度は、被相続人(妻や子どもら)が自宅として住んでいる土地(面積330平方メートル=100坪まで)の評価を、80%減の金額にできるというもの。相続税の課税対象となる評価額が“8割引きの大安売り”というわけだ。

 したがって、豪邸に住んでいる一部の金持ちを除き、この特例を使わない手はない。ただ、妻は相続人と同居しているから問題はないものの、問題は子ども。たいてい独立するか嫁入りして、親と同居していないのがほとんどだろう。

 また、子どもが別居していても、3年以上持ち家に住んでいない場合、借家住まいのケース(“3年家なき子”という)では、その子どもが実家の相続を受ける場合に、この特例措置が適用される可能性もある。

●自動車

 これまた、預貯金より節税効果が高い。たとえば、200万円で買った新車でも、贈与なり相続する際に、中古車扱いとなれば、評価額がかなり下がる。預貯金の欄でも書いた「贈与税の基礎控除」という優遇税制が、ここでも活用できる。

 自動車の評価額が控除額の110万円以下に下がっていたら、子どもらに生前贈与しても贈与税がかからない。ただし、ここにも落とし穴がある。預貯金を毎年110万円以下で贈与する場合もそうだが、相続開始前3年以内に贈与した分については、持ち戻しといって、相続財産に加算されてしまう。早めに手を打っておこう。

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