「怪談和尚」三木大雲住職
「怪談和尚」三木大雲住職

――「怪談和尚」の異名を取る三木大雲住職。テレビや雑誌などのさまざまなメディアにも登場する三木住職が、亡くなった方がお線香やお焼香の煙を食べる「香食(こうじき)」という現象について、不可思議なエピソードを激白!

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 お盆の時期も近づいてきましたが、お盆のときによく、「地獄の釜の蓋が開いて亡くなった方々が帰ってくる」っていうじゃないですか。そして、この時期になると、お寺の場合は特にそうなんですけど、「施餓鬼棚」っていう棚を作るんですね。

 施餓鬼棚って、あえて低いところまで段にしているのは、「魑魅魍魎もどうぞ上まで上がってください」「甘い物どうぞ食べなさいよ」という意味なんですよ。彼ら、背が低いんで階段をつけたりしているわけです。

 そこでお線香とかしていると、その周りにブワ~っと白い霧状のものが渦巻くのが見える。これはお経の中にも出てきますが、「香食(こうじき)」という現象で、「香りをどうぞ食べてください」っていうことなんですよ。つまり、白い霧状のものがブワ~っときて煙を食べてるわけですね。

■京都の民家から遺骨が出てきて

 この「香食」にまつわるお話で以前、こんなことがありました。ある不動産屋さんが京都の民家を買いまして、その家から遺骨が出てきたっていう事件があったんです。

 で、ご遺族の方に「引き取りにきてください」と連絡したら、「家を売ったときにお骨もセットです」みたいなことをいわれたそう。困り果てた不動産屋さんに頼まれて、私が納骨することになったんですよ。

 その亡くなられた方には娘さんがいたんですけど、生前から仲が悪くてずっと独りぼっち。遺骨もほったらかしにされ、あげくの果てには、まったく知らない不動産屋さんに買われてしまって……。「ずっと独りぼっちで気の毒だな」と思いましたね。

 夜帰ってきて、本堂にお骨を置いてお焼香とか、お線香をして。ちょっと、お風呂に入ったんですが、お風呂上がりに本堂へ戻ったら、着物を着たお婆さんが座っていて、必死で煙を食べてはるんですよ。

「あ、これ多分、亡くなられたお婆さんだ」と思って、しばらくそのままにしていると、お線香がなくなったらそのまま消えました。香食していたんですね。お腹減ってたんだと思いますよ。

 そのお骨は、私のお寺で永代供養されています。

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